WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第1話.08)

第1話・天野 茜(アマノ アカネ)

**** 1-08 ****


「わぁ…傍(そば)に来ると、矢っ張り大きいですね…えっと、何でしたっけ?」

「LMF。」

 格納庫フロアに降りて来た鬼塚部長と茜は、奥側の階段から中央方向へと歩いていた。目の前には『LMF』が駐(と)められている。

「そうそう、LMF…LMFって、何の略なんですか?」

「Land Mobile Frame…陸上機動フレームって意味だけど、又今度、詳しく説明するわね。」

 南側大扉に向けて駐(と)められている LMF の左側に、HDG のメンテナンス・リグは東向きに置かれており、その前に二人は立った。

「何だか、想像していたのとは…違いますね。」

「でしょうね。これはまだ、基本フレーム部分のみだから。」

 それは『パワード・スーツ』と謂う語感からは、懸け離れた形状である。
 腰の部分と思われるリング状のパーツから後ろに伸びた支柱の先端がメンテナンス・リグに接続され、支えられているのだが、その後部支柱の途中にはウイング状のパーツが一対、後方へ突き出している。腰部リングから上に伸びた台形断面のリボン状パーツに、背中部分に当たる位置のボックス状パーツが接続され、そこからは左右に台形断面のリボン状パーツが伸びている。その先には腕らしいパーツが取り付けられている。
 腰部リングから下へは、左右に台形断面のリボン状パーツが伸びていて、その先にブーツ状のパーツが接続されていた。

 

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「このリボンみたいなパーツが、関節になるんですか?」

「そう、FSU…Flexible Structure Unit って言ってね。天野重工の技術データベースに、死蔵されてた技術よ。構造は、形状記憶合金みたいな素材を、百数十本束ねて連結してあると思ってくれたらいいわ。部分毎の曲率を制御して全体の形状をコントロールするんだけど、結構なパワーが出るのよ。反応速度を上げる為に、可成り改良して貰ったけどね。」

「成る程…ケーブルとか有りませんけど、制御信号は…そもそも電力(パワー)伝達はどうやってるんですか。」

「電力(パワー)系も信号(シグナル)系もケーブルは FSU の中を通ってるわ。信号(シグナル)系については一部、FSU 自体が兼用してる位(ぐらい)。」

「それって、FSU 自体が切れたりしたら大変なんじゃ。」

「百数十本束ねてる、って言ったでしょ。数本ぐらい切れても、冗長性はびくともしないわよ。」

「取り敢えず、『スーツ』って形ではないですね。」

「そうね。だから『パワード・スーツ』って言うより、これは『HDG』なのよ。そもそも外骨格形状でパワーを上げようとしたら、駆動系を置く位置が問題になるし、装甲を厚くしようとすれば関節の可動域が狭くなるし。そうすると、どんどん身動きが出来なくなって、だったらアニメみたいに、乗って操縦する巨大ロボットの方が優(まし)になって来るのよね。」

「そうですよね。大昔の甲冑は、駆動系が内側の人間だから成立してますけど。アレの外側に駆動系をつけるのは、具体的には想像が難しいですよね。」

「そうそう。それに外骨格方式だと装着者(ドライバー)の関節の位置と、スーツ側の可動軸をある程度、メカ的に合わせないといけないでしょ。そうしないと装着者(ドライバー)側の関節に負担が掛かるから。でも、FSU だとその辺りが、メカ的にはフリーに出来るのが利点ね。その分、制御の方が大変になるんだけど。」

「装着者(ドライバー)の体型差は、パラメータで調整すればいいって事ですか。」

「今の所、装着者(ドライバー)の関節の位置関係を正確に測定して、HDG に登録しないといけない仕様になってるから、簡単に装着者(ドライバー)の交代は出来ないわ。それに、これを動かすには専用のインナー・スーツが必要で、それも装着者(ドライバー)の体型に合わせて作らないといけないのよ。だから、実質的には専用機扱いになっちゃうの。」

 鬼塚部長と茜は、HDG 試作機の周りをぐるぐると回りながら、パワード・スーツ談義を続けていたが、鬼塚部長は不意にその場を離れ、シートが掛けられた何らかの装置らしき物体の方へ移動して行った。そして、掛けられていたシート引き下ろした。

 

- to be continued …-

 

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