WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

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STORY of HDG(第2話.01)

第2話・鬼塚 緒美(オニヅカ オミ)と新島 直美(ニイジマ ナオミ)

**** 2-01 ****


 2070年5月20日火曜日。
 新島 直美が入学して、一月(ひとつき)程が経過した頃の事である。その時期、教室で直美の隣の席だったのが、鬼塚 緒美だった。
 授業中は勿論、真面目に授業を受けていた緒美だったが、休憩時間にも某(なにがし)かの書籍や印刷物、或いはタブレット端末で、何時(いつ)も何かを読んでいたのが、直美には不思議だった。彼女がクラスの誰かと、おしゃべりをしている姿を見た印象が無いのだ。勿論、用事が有れば事務的にではあれ、普通に受け答えはしていたが…否(いや)、緒美が唯一、おしゃべりをしていた人物が在(あ)った。。
 それが、直美とは寮で同室である、森村 恵である。その恵でさえも、教室で緒美に話し掛ける事は、日に一度、有るか無いか程度だったので、結果、緒美は席に居る間は、ひたすら何かを読んでいるのだった。
 
 その日、昼食から教室に戻った時、何時(いつ)もの通りに緒美がタブレット端末で何かを読んでいるのを見た直美は、彼女に声を掛けてみた。

「ねえ、鬼塚さん。何を読んでいるの?」

 緒美は視線をタブレット端末から外す事無く、答えた。

「米軍のエイリアン・ドローンとの戦闘レポート。」

「どうして、そんなのを?」

「日本の防衛軍は、こう言うのは発表しないから。こう言うのは、米軍が一番、オープンなのよ。」

「いや、そうじゃなくて。何の為に、そんなのを読んでるのかって…。」

「勿論、自分の研究の為よ。」

 そこまで話した所で、恵が歩み寄って来たのが、直美の視界に入った。

「新島さん。緒美ちゃんの邪魔はしないであげて。」

 恵はニッコリと微笑んで、直美に、そう言った。

「ありがとう、森村ちゃん。助かる。」

 緒美は恵に、軽く手を挙げて見せ、恵は直ぐに自分の席へ戻って行った。直美は空気を読んで、それ以上は何も緒美に話し掛けなかったが、そうこうする内、五時限目の予鈴が鳴ったので、直美は自分の席に着き、次の授業の準備を始めた。
 それ以降、直美が緒美と会話する事は無かった。
 
 その日の夜、寮に戻り、宿題とかも片付けて一息吐(つ)いた頃、直美は昼間から気になっていた事を、改めて恵に聞いてみたのだった。

「森村さんは、鬼塚さんと友達だったの?」

「中学の時から、一緒のクラスだったのよ。」

「前から、あんな様子?」

「そうね。緒美ちゃんの事、気になるの?新島さん。」

「そりゃ、隣の席の子が、この一ヶ月ずっと、あの様子だもん。誰だって、少しは思うんじゃない?どうした物かなって。」

「そう…彼女は唯(ただ)、自分の研究を進めたいだけだから、気にしないであげて。」

「何を研究しているのか、知ってるの?」

「…それに答えるのが、適当だと思えないわ。」

「どう言う事?」

「第三者が勝手に話してはダメって話、有るでしょう?」

「第三者『が』?…あなたも、第三者って事?」

「そうよ。緒美ちゃんに取ってはね。」

「…そう。じゃぁ、もう聞かない。気にしない様にするわ。」

「ありがとう…って言うのも、ちょっと変よね。」

 微笑んで、そう言った恵は、立ち上がって寝間着に着替えると、自分のベッドへと潜り込んだ。そして、掛けていた眼鏡を外してヘッドボードに置いた。

「明日から暫(しばら)くの間、帰るのが遅くなると思うけど、心配しないでね。」

「何の用事?」

「緒美ちゃんの、研究の手伝い。」

「あなた、さっき第三者だって言ったじゃない。」

「第三者として手伝うだけ。」

「どうして…。」

「だって、友達だもん。…先に寝るわね、お休み。」

 恵は直美の方に背を向け、室内が明るいのにも構わず、眠ろうとしている様子だった。

「そう、お休み。」

 直美は消化し切れない感情が胸でモヤモヤしていたので、直ぐに眠れそうに無かった。暫(しばら)くは手近に有った雑誌を捲(めく)って時間を潰していたのだが、間も無く恵の寝息が聞こえて来たのだった。
 直美は自分のベッドのスタンド・ライトを点け、部屋の灯りを消した。

 

- to be continued …-


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