WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第3話.06)

第3話・Ruby(ルビィ)・1

**** 3-06 ****


「まぁ、それが本社の技術力って所ね。各パーツのレベルで、本社の開発部と試作部が繰り返し、試験や調整をやって、それが統合されて、その試作機が出来てるんだから。基礎的な機能が、それだけのレベルになっているのは、寧(むし)ろ当然よ。」

 茜の抱いた疑問に、立花先生は胸を張って解説をするのだった。

「ともあれ、順を追って機能の確認をしていくわよ。次は、歩いてみましょうか。瑠菜さん、扉、開けてちょうだい。」

 格納庫の南側を指差して緒美が指示をすると、瑠菜が小走りで南側へと向かって行った。そして、格納庫中央から東側へと、中央部の扉を一枚、瑠菜が全身で押して動かしていく。
 南側の大扉は東西に開く引き戸が片側に五枚有り、その扉の一枚は縦が8メートル、幅が5メートルである。その為、一枚の扉にもそれなりの重量が有るので、動かすのには多少の力が必要だったが、滑り部にはローラーが取り付けられているので、一度動き始めてしまえば、女子の力でも押して行く事は可能だった。ローラーの転がる大きな音が、「ゴウゴウ」と格納庫の内部に反響していた。
 緒美は用意してあった携帯型無線機にヘッド・セットを接続し耳に掛けると、口元へマイクを寄せた。周波数は茜の装着する、ヘッド・ギアの通信チャンネルにセット済みである。

「あ~、聞こえる?天野さん。」

「あ、はい。聞こえます。」

 行き成り、ヘッド・ギアから緒美の声が聞こえて来た事に少し驚きつつ、茜は直ぐに返事をした。緒美は、茜の生の声と同時に、ヘッド・セットからも茜の返事が聞こえた事を確認したのだった。

「よし、じゃ、駐機場の方へ歩いて行ってみましょうか。」

「はい。」

 茜は、少し緊張気味に第一歩を踏み出す。当初、身体は東側に向いていたので、二歩目で右手方向へ向きを変えた。その動作は、殆(ほとん)ど無意識に行ったので、歩き乍(なが)らどうやって向きを変えたのか、茜自身、良く思い出せなかった。意識すると、普通に歩く事自体がぎこちなくなりそうなので、取り敢えず考えるのは止めにしたのだった。
 そんな時、緒美の声がヘッド・ギアから突然、聞こえる。

「はい、そこで一旦停止。」

 茜は指示通り立ち止まる。

「そこから、後ろへ歩いてみて。二、三歩でいいわ。」

「ちょっと、怖いですね…やってみます。」

 恐る恐る、三歩、後退(あとずさ)りして茜は立ち止まった。

「オーケー。バランスを取り難いとか、無い?」

「それは大丈夫です。後ろが見えないのが怖いだけで。」

「じゃ、再び前進。」

「はい。」

 再び、庫外へ向かって茜は歩き出す。そして、遂に格納庫から外へ出た時、再び、緒美の指示が聞こえた。

「じゃ、そこから駆け足。」

 茜は重心を前方へ傾け、歩速を早めた。スピードが、早歩きから駆け足へと変わっていくと、段々と感触が変わって来るのに気が付いた茜は、歩速を緩め、立ち止まった。
 ヘッド・ギアから、緒美の呼び掛けが聞こえて来る。

「何か異常があった?天野さん。」

「いえ、スピードを上げていくと、身体の浮き上がりが強くなって、こう、歩幅と足の回転が合わないって言うか…ちょっと違和感が。」

「そう…ちょっと、その場で軽くジャンプしてみて。」

「軽く、ですか。やってみます。」

 茜は膝を軽く曲げ、腰を少し沈めて、両脚を揃えて身体を伸ばす様に地面を蹴った。生身なら 10 センチも浮き上がらない様な動作だった筈が、HDG を装着した茜の身体は優に 50 センチは浮き上がったのだった。想像以上に跳び上がった事に、一瞬、ヒヤッとした茜だったが、着地の衝撃は HDG が吸収したのか、負担は全く感じなかった。
 その光景を見ていた一同の方が、茜よりも肝を冷やしたのかも知れない。その瞬間、皆が「わぁっ」と声を上げたのが、離れた位置にいる茜にも聞こえた程だった。

「基礎フレームだけで、装甲が無い所為(せい)でもあると思うけど…想定よりも、跳躍力が有る様ですね。」

 緒美は横に立っている、立花先生にそう話し掛けた。勿論、その声は緒美のヘッド・セットのマイクが拾い、ヘッド・ギアから茜の耳にも入っていた。

「重力が小さいと…例えば月面とか、こんな感じかも知れませんね。普通に走るのは無理そうです。やるとしたら、宇宙飛行士が月面を跳ねる様に歩いてたみたいに…こうかな。」

 茜は一歩ずつ、おおよそ2メートル程の歩幅で跳ねる様に、十歩ほど進んで見せた。

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「それで、膝とか腰に負担は無い?」

「はい、衝撃は殆(ほとん)ど有りません。入れた力(ちから)以上に進んじゃう違和感の方が、強いです。もうちょっと、色々動いて見ます。慣れれば、何とかなると思うので。」

「そうね。やってみて。」

 茜は、再び歩行から駆け足への移行や、ジャンプを繰り返し、HDG を装着した状態での運動感覚を確かめ始めた。緒美はその様子を眺め乍(なが)ら、今度は口元からマイクを下げる様にして、立花先生に話し掛けた。

「こういう事は、やってみないと分からない物ですね。」

 立花先生は言葉は返さなかったが、微笑んで頷(うなず)いて見せたのだった。
 そうこうする内、HDG の動作が急に止まり、茜の困惑した声が緒美のヘッド・セットから聞こえて来た。

「…あれっ…あぁ、エラーが。」

 

- to be continued …-

 

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