WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

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STORY of HDG(第4話.11)

第4話・立花 智子(タチバナ トモコ)

**** 4-11 ****


 そして、本社での会議の日。2070年5月18日、日曜日である。
 智子は指定されていた時間の三十分前に、本社企画部第三課のオフィスへ到着していた。オフィスには既に小峰課長が来ており、自席でコーヒーを飲んでいる。この日は珍しく、休日出勤の同僚はいなかった。

「おぅ、立花君。ご苦労だね、日曜日なのに。」

 小峰課長が、オフィスに入って来た智子に声を掛ける。

「課長こそ。ちょっと、ギリギリになってしまいましたか?」

「中央リニアで、一時間で来られるんじゃなかったの?」

「大阪から、でしたら。天神ヶ崎からだと、大阪迄(まで)行くのに四時間掛かるんですよ。」

「東京駅から、ここ迄(まで)が小一時間掛かるから、すると、乗り継ぎの時間無しで六時間か。」

「乗り継ぎの待ち時間が有るから、結局、七時間です。向こうの始発で、出て来たんですから。」

「そうか、そりゃ大変だったな。前日移動で、御実家にでも泊まって来れば良かったのに。」

「実家(うち)にも、都合が有るんです。」

 智子は残されていた、以前、自分が使っていたデスクの椅子を引き、腰を下ろした。

「部長達は?」

「あぁ、別件で十時位(ぐらい)から会議を始めてるが、予定の時間迄(まで)、わたし達は待機だ。」

「そうですか。」

 鞄からサンドウィッチと、ボトル缶のレモン・ティーを、智子は取り出す。

「昼飯かい?」

「移動中に食べ損なったので。課長は、お昼はもう?」

「いやぁ、この後の事を考えると、呑気に食べてる気にもならんのでね。会議が終わってからにするよ。」

 小峰課長は、そう言ってコーヒーの入ったマグカップを口元へ運ぶ。一方の智子は、サンドウィッチの包装を解き、頬張(ほおば)った。
 それから暫(しばら)くして、智子がサンドウィッチを食べ終わり、ボトル缶のキャップを開けた時、小峰課長のデスク上の内線電話が鳴った。

「はい、小峰です。…はい、分かりました。」

 短く応答した小峰課長は、内線電話の受話器を静かに置いて、智子に声を掛ける。

「お呼びだ。」

 智子はレモン・ティーを一口飲み、ボトル缶のキャップを閉めてから、答えた。

「はい。では、参りましょうか。」

 小峰課長と智子は、第一会議室へと向かった。


 第一会議室の下手(しもて)側ドアを小峰課長が開け、室内に入って一礼した。続いて、智子も会議室へと入り、一礼する。

「あぁ、小峰君。こっちへ。」

 影山部長が二人に声を掛け、自分の隣側へと着席するように促した。

「失礼します。」

 小峰課長と智子は、影山部長が指した席へと着いた。
 智子が着いた席は出入り口が有る廊下側で、会議室の大きなテーブルを挟んで向かい側には、窓を通して青空が見える。

「二人とも、被告人として呼ばれた訳(わけ)じゃないから、まぁ、リラックスしてくれ。」

 笑い乍(なが)ら、小峰課長を挟んで右席の影山部長がそう言うと、同席していた面々も少し笑っていた。意外にも和(なご)やかな雰囲気だったので、小峰課長は少しほっとした面持ちだったが、智子は寧(むし)ろ「油断してはいけない」と、内心、考えていた。
 席に着き、智子は参加しているメンバーを見渡して、一番の上座に着いているのが社長ではないのが意外だった。他の部長達と同様に、智子は企画会議等でのプレゼンで、社長とも面識が有ったのだが、上座にいる人物とは面識が無かったので、咄嗟(とっさ)に誰だかが分からなかったのだ。だが、直ぐに、その人物が会長、天野 総一である事に気が付いた。それは勿論、会長の顔は画像等で見た事が有ったからだ。
 会長の斜め後ろの入り口近くの席に、控える様に座っている人物にも見覚えは無かったが、その席位置から、彼は会長の秘書であろう事が推測された。一流企業の重役然とした他の部長達と見比べると、頭髪の薄い、黒縁眼鏡のその男は、余りにも冴えない風体(ふうてい)の中年男性の様に、智子の目には映った。例えば、着ているスーツは良い物の様だったが、それが、何とも似合っている様に見えないのだ。「秘書にするなら、もっと見栄えのいい人を使えばいいのに。」と言うのが、智子の素直な感想だった。
 そんな智子の感想を知ってか知らずか、会長は穏和な表情で席に着いていた。その雰囲気は、あの前園氏にも似ている様な気がしないでもない智子だった。

「今回、議題のレポートを送ってくれた立花君と、その直属の上司が企画部三課の小峰課長だ。皆さん、小峰課長は御存じと思うが。」

 影山部長が、二人を紹介するので、改めて小峰課長は着席した儘(まま)で軽く頭を下げる。智子は席を立ち、再度一礼した。

「企画部第三課、立花です。」

「あぁ、立たなくてもいいよ。座って、座って。」

 慌てる様に、影山部長が智子に声を掛けた。

「あ、はい。ありがとうございます。」

 智子は言われた通り、着席した。

「立花君、プレゼンを二、三度受けた事が有るから、キミの事は覚えているよ。」

 突然、智子にそう話し掛けて来たのは、現社長の片山である。

「恐縮です。」

 咄嗟(とっさ)に智子は着席した儘(まま)、お辞儀をする。すると、天野会長が自身の右手側の席に着く、片山社長に話し掛けるのだった。

「立花君はこの四月から、出向で天神ヶ﨑(うち)の講師として、来てくれているんだ。」

「あぁ、成る程。」

 そこで、影山部長が議事の進行を始める。

「では、先(ま)ず、立花君。例のレポートが書かれた経緯から、説明してくれないか。」

 

- to be continued …-

 

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