WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第7話.09)

第7話・瑠菜 ルーカス(ルナ ルーカス)と古寺 佳奈(コデラ カナ)

**** 7-09 ****


「真面目にやる気の有る人で、秘密保持の意味が分かる人、って言うのがウチとして希望する人材なの。誰でも良いって訳(わけ)にはいかないのよね。だから、ああいう場で人を募(つの)るのは、控えた方が良いかなって思ったのよ。」

「とは言え、人手も必要なのよね、実際。」

 緒美に続き、直美が苦笑いしつつ、言った。

「分かりました。取り敢えず、秘密保持に就いては誓約の通り、約束します。」

 瑠菜がきっぱりと、そう言うと、緒美は柔らかな笑顔を見せ、話し始める。

「そう。 じゃ、先(ま)ず、現在の活動のテーマから。これは一応、秘密ではないんだけど、余り他人(ひと)には言わない方が良いと思うのよね。言っても、笑われるのが落ちだから。 で、そのテーマと言うのが、対エイリアン・ドローン用のパワード・スーツの開発、なの。」

 その緒美の発言に一呼吸置いて、相変わらず、ぼんやりとしている風(ふう)の佳奈を横目に、瑠菜が質問する。

「それは確かに、耳を疑うテーマですけど…どうして、そんな兵器なんかを?」

「どうして、って。ここは『兵器開発部』だから。」

「すみません、聞き方が不味(まず)かったです。何故、テーマがパワード・スーツで、しかも、それが対エイリアン・ドローン用なのか?です。」

 その問いに答えたのは、黙って成り行きを眺めていた立花先生である。

「それに答えようとすると、話が長くなるんだけど。誤解を恐れず、簡潔に言えば『巡り合わせ』、なのよね。鬼塚さんが個人的に対エイリアン・ドローン用のパワード・スーツに就いて研究してて、偶然、天野重工本社でも同じテーマの検討をしていた、と言う『巡り合わせ』。」

「そして、その本社での検討チームの一員だった立花先生が、この学校に講師として赴任して来て、この部活の顧問になった、と言う『巡り合わせ』も、ですね。」

 立花先生の言葉を受け、緒美は、そう付け加えて微笑むのだった。そして、瑠菜と佳奈に対して、緒美は説明を続ける。

「そんな訳(わけ)で、この部活では本社からの外部委託と言う形で、HDG…あ、開発中のパワード・スーツの事ね、その開発作業を進めている訳(わけ)。」

 そこまで緒美が話した時、ぼんやりとした表情の儘(まま)、佳奈が左手を肩の高さ程に挙げて緒美に尋(たず)ねた。

「あの、パワード・スーツって何ですか?」

 一瞬、時間が止まったかの様に、室内が静まり返る。流石にその雰囲気には違和感を覚えたのか、佳奈が言葉を続けた。

「あれ? わたし、何か変な事言いました?すみません。」

「いいのよ。そうね、そこから説明が必要だったかもね。ルーカスさんは、パワード・スーツって、分かる?」

 笑顔の儘(まま)で緒美は、佳奈の隣で苦笑いをしている瑠菜に問い掛けた。

「あ、はい。まぁ、何と無く…SF の映画何(なん)かに出て来る、人間が着るロボットみたいなの、ですよね?」

「まぁ、そんな認識で良いと思うわ。」

「ふぅん…良く解らないですけど、分かりました。パワード・スーツに就いては、後で勉強しておきます。続けてください。」

 佳奈は、そう言って、ペコリと頭を下げたのだった。

「開発テーマが、どうしてパワード・スーツなのか、とか、どんなパワード・スーツなのか、とかは、説明を始めると長くなるから取り敢えず省略しましょう。ここで押さえておいて欲しい所は、この開発テーマに就いては学校や本社の方(ほう)にも了承されている、と言う事。それから、本社には技術的な部分をサポートして貰っている、って言う事。 複雑な機械になるから、当然、わたし達だけで設計するなんて無理。だから、わたし達はアイデアを出して、具体的な細かい設計や試作は、本社にお願いする形になっているんだけれど、アイデアを本社の開発や設計に伝えるのに、相応の図面を、それも相当数、描かなくちゃいけないのよね。それで、その辺りの作業を担当してくれる人を募集している訳(わけ)。ここ迄(まで)は、いいかしら?」

「まぁ、秘密保持の絡みも有って、結果的に、こそこそ活動してる様に見えるから、ウチの活動って学校内では他の生徒達に、ほぼ認知されて無いし。胡散臭(うさんくさ)い話に聞こえるだろうけど、別に悪い事をやってる訳(わけ)じゃないから、そんなに警戒しなくてもいいわ。いや、寧(むし)ろ胡散臭(うさんくさ)い話に警戒心を持つ位(くらい)慎重な人の方が、秘密保持の方面では信用が出来て、ちょうどいい位(くらい)だけど。」

 緒美が一気に説明したのを受けて、直美が極めて明るいトーンで言い、付け加えた。すると、再び佳奈が左手を挙げて発言の機会を求める。

「何かしら?古寺さん。」

 緒美は微笑んで、佳奈に発言を促(うなが)す。

「あの、わたしは他の人達とはちょっと、色んな事のペースが違うので、余り…特定の人としか、おしゃべりは出来ないので…秘密の事とか、大丈夫だと思うんです。わたしの事、信用して貰えますか?」

「逆に、会って間も無いわたし達を、あなたは信用出来る?」

 佳奈の質問に、緒美は質問で返すのだった。それに対して、佳奈の横で様子を窺(うかが)っていた瑠菜も驚く程の反応で、佳奈は答えを返したのだった。

「はい! 何をやっているのかは、正直、良く解りませんけど、少なくとも、先輩達が巫山戯(ふざけ)ている様には見えませんから。」

 佳奈の返事を聞いた緒美は、顔を恵の方へ向け、問い掛ける。

「だって。どうかな?森村ちゃん。」

 恵は椅子の背凭(せもた)れに少し体重を掛ける様に身体を反らし、一呼吸置いて笑顔で緒美に答えた。

 

- to be continued …-

 

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