WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第7話.10)

第7話・瑠菜 ルーカス(ルナ ルーカス)と古寺 佳奈(コデラ カナ)

**** 7-10 ****


「いいんじゃない?古寺さんは真面目そうだし。所謂(いわゆる)、兵器オタクな、趣味の怪しい人なんかより、よっぽど信用できそうだわ。」

「方向性はちょっと違うようだけど、マイペースって言う意味では森村も古寺さんと同類だしな~。」

 恵の言葉を、そう言って直美が茶化すのだった。

「そうね、それについては否定はしません。じゃ、古寺さんは入部って事で、いいかしら?」

 直美に言葉を返した後、佳奈の方に向き直り、恵は入部の意志を確認する。佳奈は深く頷いてから、言った。

「はい。よろしく、お願いします。」

「こちらこそ、歓迎するわ~。それで、ルーカスさんはどうするの?」

 突然、自分の方に話が回ってきた瑠菜は、恵に不意を突かれたようで、驚いた。

「あ、え?」

 答えに迷っている内に、瑠菜の方に向いていた佳奈と視線がぶつかる。それで、瑠菜は余計に焦ってしまっていた。

「…どう?といわれても…佳奈さんの様子を確認に来ただけ、ですから~…」

「そう?暫く様子を見てて、わたしはあなたも有望だと思うのよね。友達思いの様子だし、頭の回転も良さそうだし。それに、古寺さんと同室なら秘密保持の点でも有利だしね~ねぇ、部長。」

「勿論、無理強いはしないけど。設計とか開発とかの技術職を目指しているなら、ここでの活動はあなたの今後にとって大いにプラスになると思うの。 どうかしら?」

 その時の緒美の笑顔に、引き込まれてしまうような感覚を覚えていた瑠菜だったが、雰囲気に流されるのは避けようと思い直した。

「テーマの深刻さと言うか、重大性から考えて、わたしなんかよりも、もっと優秀な人が他にいるような気がしますけど。」

 瑠菜のその言葉に、コメントを返したのは、黙って様子を見ていた立花先生だった。

「う~ん、こう言う開発チームの編成って、個々人の能力よりも、相性の方が重要だったりするのよね…恵ちゃんは、ルーカスさんが相性の面でも良いって思った訳よね?」

「はい。」

 立花先生の問い掛けに即答すると、恵は佳奈の方へ向き直り問い掛ける。

「古寺さんも、ルーカスさんが一緒だと心強いわよね?」

「はい、それは、もう。」

 恵の誘導に、簡単に乗せられる佳奈だった。

「取り敢えず、仮入部って事にしておいていただけませんか? 秘密保持については、誓約した通りお約束しますから。」

 入部については即断するわけに行かないと思った瑠菜だったが、とは言え、ここに佳奈を残して今すぐ立ち去るわけにも行かない気がして、そんな提案をしてみたのだった。
 その提案に対して、一呼吸置いて答えたのは、緒美だった。

「まぁ、いいでしょう。古寺さんがここでどういう事をやっているのか、有る程度正確に知っておかないと、ルーカスさんも安心できないでしょうし。」

 そう告げた緒美の表情から優しげな微笑みが消えなかった事に、瑠菜は胸を撫で下ろす心境だった。

「ありがとうございます。」

 瑠菜は座ったまま、長机に額が着きそうになるほど、深々と頭を下げる。

「いいのよ、気にしないで。さて、それじゃ、仕事に掛かってもらう前に、HDG の仕様ぐらいは理解しておいて欲しいから。新島ちゃん、仕様書、古寺さん達に見せてあげて。」

「はいよ~。」

 直美は椅子に座ったまま、身体を捻り、反らし、背後のスチール書庫下段の引き戸を左手で開けると、その中から分厚いファイルを一冊取り出す。そして、取り出したファイルを長机の上へと置くと、先程開けたスチール書庫の引き戸を閉め、向き直った。そして、そのファイルを瑠菜の方へと押し出し、言うのだった。

「先ずは、コレに一通り目を通してね。あ、一応、この中身は全部、秘密事項だから、ヨロシク。」

 そして、直美はニヤリと笑うのだった。
 瑠菜はそのファイルを黙って受け取り、暫し、ファイルを開かずに見つめていた。すると、佳奈に立花先生が声を掛けるのだった。

「古寺さんには、わたしが持ってるのを貸してあげる。色々書き込んであるけど、気にしないでね。」

 そう言って、立花先生は正面のモバイル・パソコンの脇に置いてあった、同じタイプのファイルを佳奈の方へと押し出した。そのファイルの中に綴じられた書類には、幾つもの付箋が貼り付けてあるのが、ファイルを開かなくても見て取れた。

「あ、先生。ありがとうございます。」

 一礼してそのファイルを受け取った佳奈は、躊躇(ちゅうちょ)することなくファイルを開くのだった。その様子を見ていた瑠菜は、緒美も同じファイルを持っているのに気がついた。

「このファイルの仕様書はね、特殊な紙に印刷してあるから、予備を含めて三冊しかないのよ。持ち出し厳禁だから、部室(ここ)で読んでね。」

 瑠菜の視線に気がついた緒美が、仕様書のファイルについて、そう説明した。

「先生は、佳奈さんにファイルを貸しても大丈夫なんですか?」

 既に、仕様書を読む事に集中している佳奈を横目に、瑠菜は立花先生に聞いてみる。

「あぁ、わたしと部長はそれぞれ、仕様書はデータでも持ってるから。心配しないで。」

「そうですか。」

 そう、短く答えると、瑠菜は観念したように一つ息をついて、それからファイルを開いた。そして最初に注目したのは、書かれている内容よりも、それが印刷されている用紙の質についてだった。
 先刻、緒美が言った通りの「特殊な紙」なのだが、それは印刷面が何か光沢のある樹脂状の物質でコーティングされているようで、頁をめくる時、光の具合で表面がうっすらと虹色に光って見えるのだった。瑠菜が紙質を確かめている様子に気づいた立花先生が、次のように解説をしてくれた。

「その用紙はコピー防止のコーティングがしてあってね、コピー機やスキャナーで読み込むと真っ白になるの。あと、カメラで撮影した場合は、表面が虹色に写るのよ。フラッシュを使ったら、コピー機で読み込んだ時と同じで、真っ白になるけど。」

「そんなわけだから、コピーして、寮に持ち帰って読もうなんて、考えないでね。コピーするだけ無駄だから。」

 立花先生の解説に続いて、緒美にそう釘を刺された瑠菜だった。

「そんな事、考えてませんよ。」

 緒美の忠言(ちゅうげん)は正に図星だったのだが、瑠菜は苦笑いしつつそう答えて、仕様書を読み始めたのだった。

 

- to be continued …-

 

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