WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第8話.14)

第8話・城ノ内 樹里(ジョウノウチ ジュリ)

**** 8-14 ****


 緒美はそれを受け取ると、装着する前に、安藤に尋ねるのだった。

「もう、いいんですか?」

「大丈夫よ、さっきも Ruby に言った通り、会社のネットワークに繋がれば、いつでもお話は出来るんだから。」

 その時、安藤は茜とブリジットの二人が、天幕下へと戻って来たのに気がついた。
 ブリジットはトランスポーター一号車の後部で茜が HDG を降ろして出てくるのを待って、茜と二人揃って天幕へと戻ってきたのだ。

「あ、お疲れ様~二人とも。」

 そう、安藤に声を掛けられた茜とブリジットは、軽く会釈すると、顔を上げた茜が安藤に問い掛ける。

「あの、ちょっと、聞いていいですか?安藤さん。」

「何かしら?どうぞ。」

Ruby がニックネームで呼び掛けるのって、珍しいですよね?先生の事だって『智子』って名前で呼んでるくらいなのに。」

「あぁ~そこに気づいちゃった?」

 安藤は照れくさそうに、後頭部へと右手をやり、自分の髪を撫でる。

「アレはね、まぁ、主任の悪戯(いたずら)みたいなものなのよ。Ruby がわたしの事を名前じゃなくて渾名(あだな)で呼んでいるのは、そういう風にプロテクトが掛かっているからなんだけど。 それが、Ruby が正常に機能している証拠、みたいな…ごめんね、あまり詳しくは説明する訳にはいかないんだな、この件については。みんなは気にしないでちょうだい。」

「はぁ…企業秘密って事ですか。」

「そ。そう言う奴。ごめんね~。」

「安藤さんが何故に『ゼットちゃん』か?と言うのも、秘密なんですか?」

 今度はブリジットが問い掛けるが、それには、樹里が答えるのだった。

「『安藤』と『undo(アン・ドゥ)』を掛けた洒落よ。で、キーボードで『undo』、やり直しのショートカットのキーが『Z』、まぁ、実際は『Ctrl(コントロール)』と『Z』だけど。」

「それに加えてね…。」

 安藤が樹里の解説に補足を加える。

「…新人の頃にね~大量の打ち込み作業を任されたんだけど。その時にテンパっちゃってね、『Ctrl+Z(コントロール・プラス・ゼット)』を連打してるのを主任に見られたのが、そもそもの始まり。それ以降、さっき樹里ちゃんの言ってた洒落の意味も合わせてね、課でのわたしの呼び名が『ゼットちゃん』になった訳。 流石に、二年、三年と経つ内に、普通に『安藤』って呼ぶ人が増えたけど、未だに、主任だけは『ゼットちゃん』なのよね~。」

 そう言って苦笑いする安藤を横目に、机に凭(もた)れるようにしていた身体を起こし、恵は茜とブリジットの方へと身体を向けて話し掛ける。

「取り敢えず、着替えていらっしゃい、二人とも。バスのキーは預かっているから。あ、シャワー、必要だったら管理棟のを使って良いそうだけど?」

「わたしは寮に帰ってからにします、シャワーは。ブリジットはどうする?」

「わたしも、寮に戻ってからでいいわ。一応、わたしは屋根付きだったから、それほど、汗かいてないし。」

「そう。じゃぁ、直接、バスの方へ行きましょうか。」

 恵は制服のポケットに手を入れ、バスのキーを取り出すと歩き出した。茜とブリジットは安藤達に小さく会釈した後、恵の後を追ってその場を離れたのだった。
 その一方で、トランスポーター二号車では、Ruby が自律制御で LMF を操り、中間モードに移行してトランスポーターの荷台へ上がろうとしていた。先ず、右側のホバー・ユニットを振り上げると、先端部分を荷台に載せ、爪先立ちのような姿勢で重心を荷台の上へと移動させ、左側のホバー・ユニットを荷台上へと引き上げる。左右とも爪先立ちの姿勢で、二度、足踏みするように機体の位置と向きを少し変え、踵(かかと)を降ろすと通常の高機動モードへと移行し、ホバー・ユニットを起動して荷台上で浮上すると、バーニア・ノズルを噴かしてトランスポーター二号車の荷台に機軸を揃え、荷台上に降りるのだった。

「荷台への移動を完了。自律行動を終了します。」

 Ruby の報告が、天幕下に響く。

「ご苦労様、Ruby。じゃぁ、スリープ・モードへの移行作業をやってもらうから、暫く待機しててね。」

「ハイ、緒美。」

「それじゃ、移行作業やって来ます。」

 樹里はコンソールの傍(かたわ)らの、長机上に置いてあった自分のモバイル・パソコンを手に取り LMF へと向かおうとして直ぐに足を止め、振り向いた。

「安藤さん、一緒に確認してもらえますか?」

「あぁ、いいわよ。」

「それじゃ、部長。行ってきます。」

「はい。宜しくお願いね。」

 樹里と安藤は、二人連れ立ってトランスポーター二号車へと向かったのだった。

 それから十五分ほど経って、兵器開発部の一同が揃って帰り支度をしていた時、立花先生が飯田部長を伴って天野重工の天幕へと戻ってきた。
 防衛軍側の天幕の方へでは、防衛軍側の人員によって、天幕の解体が既に始まっている。

「いやぁ、みんな、今日はご苦労だったね。」

 飯田部長がご機嫌そうな笑顔で、開口一番、そう言った。

「みんな、揃ってるわね。ちょっと、飯田部長からお話があるから、聞いてちょうだい。」

 立花先生が、改まった口調で言うので、一同は飯田部長へと注目するのだった。

「おぉ、そんな硬くならずに、楽にして聞いてくれ。あ~、正直、防衛軍の方は HDG には、当初、あまり興味がなかった様子なんだが、みんなが見せてくれたパフォーマンスが素晴らしかったので、多少は興味を持ってくれたみたいだ。そこで、陸上防衛軍の戦車部隊と HDG とで模擬戦をやってみないか、と言う提案をいただいたのだが、どうだろうかな?」

「提案?…なんですか。」

 緒美が訝(いぶか)し気(げ)に聞き返すと、それには立花先生が答える。

「提案、よ。あちらはあちらで部隊内での調整とか必要だから。今の段階では陸上のお偉方(えらがた)の、単なる思いつきなの。」

 続いて、飯田部長が補足する。

「勿論、安全には配慮してくれる約束だから。君達の都合がつくようなら、あちらも調整を進める、と言っている。日程や内容の摺り合わせは、また後日にする事になるだろうけどね。」

 そこまで飯田部長の説明を聞いて、緒美は一息、すぅっと吸い込んでから、茜の方へ向き直って、言った。

「天野さん、あなたはやってみたい?模擬戦。内容次第だとは思うけど、怖いようなら、断っても良いのよ。」

 話を振られて、茜は一度、視線を宙へと向け、少し考えてから答えた。

「部長の言われた通り、内容次第ですね。今日の試験を終えて、HDG の動作や機能的な面には不安はありませんので、やって意味のある内容であれば、お受けしても良いかな、と、思います。」

 茜の緒美に対する返事を聞いて、飯田部長はニヤリと笑って確認する。

「それは承諾、と受け取って良いのかな?」

「基本的には。飽くまでも、内容次第で、と申し上げておきますけど。」

 と、今度は、茜は飯田部長に向かって答えた。

「緒美ちゃんも、それでいい?」

 飯田部長の隣に立つ、立花先生が緒美に確認する。

「ドライブするのは天野さんですから。天野さんが行ける、と言う条件なら、わたしとしては反対する理由はありません。」

「解った。それじゃ、先ずは内容の摺り合わせからと言う事で、先方とは話してみるよ。また、何か決まったら、改めて連絡する事にしよう。」

「宜しくお願いします。」

 緒美は、飯田部長に軽く頭を下げる。それを見て、茜が、そして他の一同も飯田部長に一礼するのだった。

「今日は土曜日なのに、こんな時間までご苦労だったね。支度が済んだら、遠慮は要らないから先に引き上げてくれ。あと、学校に戻す機材は、二十時過ぎに到着する予定だから、受け取り確認の方(ほう)は頼むよ。」

「はい。では、早々に退散させていただきます。撤収作業のお邪魔になってもいけませんので。」

 飯田部長の言葉を受けて、立花先生は緒美達の列の前へ移動し、飯田部長の方へ向き直り、そう言った。

「あぁ、帰りの運転手は畑中君がいいかな。彼、君達とは顔馴染みだしな。わたしの方で声を掛けておくよ。」

「はい。お願いします。 じゃぁ、みんなはバスの方へ。」

 立花先生に促されて、兵器開発部の一同は「失礼します」と、今一度、飯田部長に一礼した後、学校のマイクロバスへと向かって歩き出す。すると隣の天幕下、その奥から、樹里に呼び掛ける、安藤の声が聞こえたのだった。

 

- to be continued …-

 

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