WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第2話.05)

第2話・鬼塚 緒美(オニヅカ オミ)と新島 直美(ニイジマ ナオミ)

**** 2-05 ****


「あなた達が、そう言う認識なのは…まぁ、仕方が無いけど。パニックを避ける為に、不安を煽る様な報道は控えてる筈だし。」

「実際はもっと、深刻な状況って事ですか?」

 直美は立花先生に問い掛ける。

「今は、何とかなってるわよ。多分、暫(しばら)くは何とかなるでしょう。でも、五年先は判らないわ。 先週みたいな事件が、段々増えて来てるのは知ってるでしょう? エイリアンの襲撃は、緩やかだけど増加傾向だし、今と同じペースで増え続ければ、十年後には確実に、経済的に破綻するでしょうね。人類側が。」

「でも、エイリアン・シップは、一隻だけなんですよね? たった一隻で、そんな、十年も攻撃し続けられる訳(わけ)が無いじゃないですか。」

「つまり、新島さん…だったわね。 あなたは、何(いず)れエイリアン側が弾切れになって引き上げるだろう、と思う訳(わけ)ね?」

「政府とかは、そう考えているんじゃ…。」

「そんな発言をする、評論家や政治家はいるけどね…こんな計算をした人がいるのよ。今迄(まで)、この四年程で、地球に降下したエイリアン・ドローンの総質量を推定したの。計算式は割と簡単よね、ドローン一機の重量に、降下した数を掛ければ計算出来るわ。ドローンの重量は米軍の発表値が有るし、降下した数は各国が発表した、ドローンの撃破数を合計すればいい。で、その結果がどうなったと思う?」

「…分かりません。」

「推定されるエイリアン・シップの質量を、とっくに超えてたそうよ。」

「それって、運んで来た船の質量よりも、多くの荷物を下ろしたって事ですよね。集計が間違ってるんじゃないですか?」

「各国がドローンの撃破数を、水増しして発表している可能性は有るでしょう。エイリアン・シップが、見掛けよりも大きな質量を持っているのかも知れない。その幅を見込んでも、既に、ドローンの方が、多く降りて来ている事が推定される、と、計算した人は主張しているわ。」

「…そんな、バカな。」

 直美は困惑する一方だったが、緒美は冷静に、一つの見解を口にした。

「それはつまり、補給を受けている、と言う事ですよね。」

「そう、方法は分からないけどね。月の資源を使って、ドローンを作っているんじゃないかって言う人もいるけど…まぁ、実際の所は、分からないわ。月の裏側に、もう、数十隻のエイリアン・シップが来ているのかも知れないし。 問題なのは、敵の弾切れを期待する訳(わけ)にはいかない、って事。」

 立花先生は紙コップに残っていたお茶を、一気に飲み干した。

「兎に角、相手の物量の底が知れないからには、もっと効果的な対抗策を持つ必要が有るのよ。一刻も早くにね。 現在の兵器システムが、相手の機動兵器に対応し切れてないのは明白だし、その点で、鬼塚さんの着想は、防衛軍や本社と方向性は同じだったのよ。 陸上で被害を出さない様に対応出来る兵器システムの開発と、防空システムの効率…要は命中率の改善ね。」

「…立花先生は、本社で検討していた内容に、随分とお詳しい様ですけど?」

 黙って聞いていた恵が、突然、口を挟んで来た。立花先生は、即答する。

「当然よ。企画部で、その検討チームに居たんだから。こっちへの出向が決まって、半年ほど前にチームからは外れたけど。結局、わたしが居た頃から現在迄(まで)、対抗出来る兵器システムに就いてのアイデアは、具体化に迄(まで)、検討が進んでいなかったのね。それが、今回の件で判ったの。 で、鬼塚さんのレポートには、私たちが纏(まと)め切れなかった、具体的なアイデア迄(まで)盛り込まれていた。だから、本社に送って様子を見てたのよ。」

「でも、わたしのアイデアは理論だけ、まだ机上の空論ですよ? 研究、開発しなければいけない技術項目が、ざっと二百項目以上有ると、レポートにも書いた通りです。」

 緒美は、じっと立花先生を見詰めている。

「そうね。全部、一から開発してたら十年所(どころ)か、三十年は掛かるでしょうね。」

「それじゃ、結局、間に合わないじゃないですか。」

 呆れた様にそう言って、直美は溜息を吐(つ)いた。

「一から開発すれば、の話よ。鬼塚さんはまだ、本社の技術がどんな物か知らないであのレポートを書いたから、そう言う結論になっているけど。うちの持ってる技術をフル活用したら、どうなるのか。それを先(ま)ず、考えて欲しい…と言うのが、本社からの依頼。どう?」

「どうして、そんなに、わたしにやらせたいんですか?」

 緒美は、立花先生や本社の真意を計り兼ねていた。それを知らずに安請け合いは出来ない、そう思っていたのだ。

 

- to be continued …-


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