WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

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STORY of HDG(第7話.07)

第7話・瑠菜 ルーカス(ルナ ルーカス)と古寺 佳奈(コデラ カナ)

**** 7-07 ****


 そして、入学式が終わって凡(およ)そ三週間が過ぎた、2071年4月21日火曜日の事である。
 放課後になり、瑠菜と佳奈は女子寮へと帰って来た。前の週の木曜日に、恒例である新入生に対する部活説明会が行われていたのだが、運動部にも文化部にも、何方(どちら)にも興味を持てなかった二人は、未(いま)だ、何(ど)の部活にも所属しては居なかった。
 では、放課後は暇を持て余していたのかと言うと、それはそうでもない。宿題を片付けた上で、授業の予習、復習を、二人共が欠かさなかったし、読書は瑠菜と佳奈の二人に共通した趣味だったので、退屈等(など)する暇は無かったのである。勿論、話題が有れば「おしゃべり」は普通にしていたし、樹里や維月がやって来たり、逆に、二人が樹里と維月の部屋を訪問する事も有った。
 その日は、部屋に戻ったら読み掛けの小説の続きを読もうと瑠菜は思っていたのだが、女子寮のエントランスに入ってシューズボックスのコーナーを抜けると、そこに有る掲示板の前で佳奈が立ち止まった。佳奈は、何だか味気無い、一枚の張り紙を、じっと見詰めている。

「どうしたの?佳奈さん。」

「兵器開発部の部員募集だって。」

 瑠菜は佳奈が言った言葉の意味が、咄嗟(とっさ)に理解出来なかった。掲示板の前まで戻り、佳奈が眺めている張り紙の内容を読んでみる。
 その張り紙には、「特別課程の一年生を若干名募集」、「CAD 製図の作業に興味のある人」、「CAD 製図については指導する」等(など)の旨が書かれており、部活の部員募集と言うよりは、アルバイトの募集広告の様だった。そもそも「兵器開発部」と言う、ある意味、物騒な名称の部活は聞いた事が無かったし、それ故に何(ど)の様な活動内容の部活なのかが全く分からないのだが、それに就いては一切明記されていないのが、瑠菜には極めて不審だったのだ。

「何だか、胡散臭(うさんくさ)いわね。」

 鼻で笑う様に、瑠菜は言った。しかし、佳奈は瑠菜とは違う所感を持った様子だった。

「瑠菜さん、第三格納庫って、場所、知ってる?」

「ちょっと、何考えてるの?」

「だって、CAD やらせてくれるって。」

「そんなの、何(いず)れ授業でやる事になるでしょ?」

「経験は、いっぱいした方がいいと思うの。」

「それにしたって、どう言う部活なのか、内容が何も書いて無いじゃない。」

「詳細は、第三格納庫、東側二階の部室迄(まで)、だって。 取り敢えず、どんな部活なのか、聞いて来る。」

 佳奈はクルリと向きを変えると、シューズボックスのコーナーへと戻って行く。

「ちょっと、場所は分かってるの?」

「取り敢えず、南の、滑走路の方へ行ってみる~。」

 そう言い乍(なが)ら、佳奈はスリッパを、靴へと履き替えていた。

「あ~もう、わたしも一緒に行く。心配だから。」

 慌てて靴に履き替えた瑠菜は、女子寮のエントランスから出て行く佳奈を追ったのだった。

 暫(しばら)くして、瑠菜と佳奈の二人は、第三格納庫東側外階段の下へと辿り着いていた。実は、ここに向かう途中、偶然出会った、恐らく飛行機部所属であろう二年生の男子に、第三格納庫の所在を教えて貰っていた。「そんな所に何の用が有るんだろう?」と訝(いぶか)し気(げ)に彼は二人を見送っていたのだが、当の二人はそんな事には構わず、一礼すると一目散に、ここへと向かって来たのだった。
 外階段を佳奈が先頭になって登って行くと、やがて部室の入り口へと到達する。ドアの横には『兵器開発部』と書かれた看板が掛かっており、それは目指して来た場所に間違いがなかった事を証明していた。
 佳奈がドア・ノブに手を掛け、ドアを開けようと試みる。

「あれ?開かない。留守なのかな?」

 鍵が掛かっているのか、ドア・ノブを回す事が出来ない。

「室内(なか)、灯りは点いている様だから、誰か居るんじゃない?」

 瑠菜が立っている踊り場の前には、明かり取りか換気用の窓が有り、その模様硝子越しに、室内には電灯が点けられているのが見受けられた。
 佳奈は瑠菜の言葉を受け、ドアをノックしてみる。

「すみませ~ん。どなたか、いらっしゃいますか~。」

 少し大きな声を上げつつ、佳奈はドアを四度叩いた。普段の行動はのんびりとしているのに、自分の興味の有る事に対しては物怖(ものお)じしないのだな、と、瑠菜は妙に感心して、その行動を見ていたのだった。
 そして間も無く、ドアが内側から解錠される音がすると、眼鏡を掛けた、クロス・タイの色から察して二年生らしき女子生徒がドアを開け佳奈と瑠菜に声を掛けた。

「何か、ご用かしら? あなた達は、一年生?」

「はい。あの、女子寮の掲示板、張り紙を見て来たんですけど。」

「あぁ~はいはい。取り敢えず、入って。」

 眼鏡の女子生徒はドアを更に大きく開け、佳奈と瑠菜の二人を室内へ入るようにと、手招きをする。二人は軽く会釈すると、促(うなが)される儘(まま)、部室の中へと入って行った。
 室内には、更に二人の上級生らしき女子生徒と、教師らしい女性が一人、中央の長机の席に着いていた。

「ごめんね~。普段、オートロックだから。うっかり、解除しておくのを忘れてたわ~。」

 眼鏡の女子生徒は、そう言い乍(なが)ら佳奈と瑠菜の脇を擦り抜けると、椅子を二つ引いて、二人に、そこへ座るようにと掌(てのひら)で指し示した。二人はもう一度会釈してから、椅子へと向かった。

「ありがとうございます。」

 瑠菜はお礼を言うと、指定された椅子に座る。続いて、佳奈もその隣の椅子に座った。

 

- to be continued …-

 

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