WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第7話.13)

第7話・瑠菜 ルーカス(ルナ ルーカス)と古寺 佳奈(コデラ カナ)

**** 7-13 ****


「森村ちゃんも知ってる子?」

「ううん、寮で見掛けた事が有る程度。お話とか、した事は無いの。」

 緒美と恵が話しているのを横目に、直美が瑠菜に問い掛ける。

「その二人は、何か部活、やってるの?」

「いいえ。今の所、どこにも入ってなかった筈(はず)です。」

「いいねぇ~。」

 答えを聞いて、直美は緒美へ視線を移し、ニヤリと笑うのだった。

「取り敢えず、その二人と直接お話ししてみたいわね。明日にでも連れて来て貰えないかしら? 二人の都合が良かったら、だけど。」

「明日って、日曜ですよ?」

「うん、でも月曜からは試験期間前で、部活は休止になっちゃうから。その前に、会うだけ会っておきたいの。」

「それなら、今日、この後、寮ででもいいんじゃ…。」

 瑠菜がそこ迄(まで)言い掛けると、優し気(げ)な微笑みを浮かべて緒美が言うのだった。

「部室(ここ)での方が、秘密保持の事とか有るから、人目の有る所は避けておいた方が賢明でしょう。Ruby の件とかも説明し易いし。それに、ソフト担当になる人だったら、Ruby との相性も見ておきたいわ。 Ruby も、どんな人か気になるでしょう?」

 緒美が Ruby に問い掛けると、今迄(まで)黙っていた Ruby が透(す)かさず答える。

「ハイ、紹介して頂けるなら、是非。」

 Ruby の答えを聞いた緒美は、ふと思い出した様に立花先生へ向き直り、笑顔の儘(まま)声を掛ける。

「あ、申し訳(わけ)無いですけど、先生も同席して貰えます?」

「いいけど…時間は、昼からにして、ね。」

 立花先生は苦笑いし乍(なが)ら、そう緒美に依頼するのだった。

「分かりました。取り敢えず、明日来られるか、あとで二人には話しておきます。」

「お願いね、瑠菜さん。 取り敢えず、希望の光がちょっと見えた感じかしら~。」

 緒美は両手を振り上げて背凭(せもた)れに身を預け、大きく伸びをする。

「さて。じゃあ、二人共、今日の分、CAD 講習、始めようか。」

 そう言って直美が席を立つと、瑠菜と佳奈は直美に付いて CAD 室へと向かうのだった。


 その日の夕食時、瑠菜と佳奈は、樹里と維月に『兵器開発部』への協力依頼に就いての話をしたのだった。
 『兵器開発部』での活動に関しては、以前から秘密事項には触れない範囲で樹里と維月には話していたので、兵器開発部からの依頼に大きな齟齬(そご)が発生する事は無かった。「わたし達で役に立つかは、分からないけど」と樹里は言ったが、それでも「面白そうだから」と、『兵器開発部』の先輩達に会ってみる事に就いては維月共共(ともども)了承して、その日はそれぞれ、分かれたのである。

 そして、翌日。2071年5月31日日曜日、瑠菜と佳奈は昼食を済ませて後(のち)、樹里と維月を連れて『兵器開発部』の部室を訪れた。
 部室に緒美と立花先生が来ていたのは、昨日の打ち合わせ通りなのだが、そこには直美と恵も来ていた。いや、この後、瑠菜と佳奈は直美に CAD 講習の続きを受ける予定だったのだから、直美が居るのも当然なのだが、恵までもが居るのが瑠菜には不思議に思えたので、つい、そんな言葉が口を衝いて出てしまうのだった。

「どうして、恵先輩まで居るんですか?」

「ええ~、わたしだけ仲間外れにしないで~。」

 恵は、そう言い返して明るく笑った。

「あぁ、すいません。そう言う、積もりでは…取り敢えず、二人、来て貰いました。」

 瑠菜は自分の後ろに立っていた樹里と維月に、前へ出る様に促(うなが)す仕草をすると、佳奈と共に直美の座っている席の方へと移動する。樹里と維月、二人の顔を見て、先(ま)ず、緒美から声を掛ける。

「来て呉れて、ありがとう。わたしが部長の鬼塚よ。で、こちらから顧問の立花先生、会計の森村。そちらが副部長の新島。あと、もう一人? Ruby の事は聞いてるかしら?」

 メンバー紹介に続いての唐突な質問だったが、それには樹里が答えた。

「はい。昨日、大まかな事情は瑠菜さんから。あ、情報処理科一年、城ノ内 樹里です。」

 樹里に次いで、維月も自己紹介する。

「同じく一年、井上 維月です。」

「あ、どうぞ、適当に座ってちょうだい。」

 緒美に促(うなが)され、樹里と維月は取り敢えず目の前の椅子、長机を挟んで緒美の正面になる席に座る。

「井上さん? 前に、どこかで会った事、有ったかしら…」

 急に、立花先生が妙な事を言い出すのだが、それに対して、維月は明朗に答える。

「いえ。寮で見掛けられたのではないですか?」

「う~ん、そう言うのじゃなくて…どこかで、あなたと会った事が有る様な気がするのよ。変ね…。」

 その時、Ruby の合成音声が室内に響いた。

「発言しても、よろしいでしょうか?」

 この日 Ruby は、樹里と維月の前では、発言を控えなくても良いと、緒美に予(あらかじ)め言われていたのだ。

「なぁに、Ruby。」

 緒美が Ruby に発言を促(うなが)す。

「智子の記憶回復に役立つといいのですが。維月の顔と声は、麻里と良く似ています。 顔認識でのマッチング・スコアは52ポイントで本人と認識する事は有り得ませんが、別人としては非常に高いスコアです。又、声紋のマッチング・スコアも同一人物判定は出来ませんが、類似した特徴が…。」

 Ruby が解説を続ける最中(さなか)、立花先生は声を上げる。

「ありがとう、もういいわ。今、思い出したから。」

「…ハイ、それはよかった。」

「話には聞いてましたけど。なかなか、楽しい AI ですね。」

 その様子を見ていた樹里は、そう言ってクスクスと笑う。その隣に座る維月は、何かに気が付いた様に視線を上に向けていた。

「井上さん、本社開発部の井上 麻里主任って、あなたのお姉さんでしょ。Ruby の件で、三度程お会いする機会が有ったから、それで、あなたに会った事が有る様な気がしたんだわ。」

 そこで話の流れを察した恵が、何か思案中の様な表情の維月を横目に、Ruby に話し掛ける。

Ruby の件でって事は、あなたの開発関係の方なの?Ruby。 その、井上主任。」

「ハイ。麻里は、わたしの開発チームのリーダーです。」

 

- to be continued …-

 

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