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Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

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STORY of HDG(第14話.11)

第14話・天野 茜(アマノ アカネ)とクラウディア・カルテッリエリ

**** 14-11 ****


 そんな一方で、防衛省の記事の他に、幾つか別のサイトをチェックした緒美は、モバイル PC をクラウディアに返すのだった。

「ありがとう、カルテッリエリさん。」

「Bitte schön.(どういたしまして。)」

 その様子に気付き、立花先生は緒美に問い掛けたのだ。

「何か、解った?緒美ちゃん。」

「いえ、防衛省の方(ほう)は、相変わらず情報の出し方が抑制的で。他にも、防衛軍ウォッチャーのサイトを三つ程、回ってみましたけど。まだ、詳しい情報は上がってませんね。 あ、例のレールガンとレーザー砲の搭載艦、試験目的で偶然、下関辺りに来てたみたいですけど。それで急遽(きゅうきょ)、北九州上空や山陰の日本海側を狙撃する事になった、って事らしいですね。」

「使い物になるのかしら? まあ、初の実戦試験なら、余り期待するのも酷、ってものかな。」

「防衛軍も、徒(ただ)、手を拱(こまね)いている訳(わけ)じゃないって事ですよ。」

 そう言って、緒美が微笑むと、立花先生は苦笑いで言うのだ。

「緒美ちゃんは、防衛軍に好意的よね。」

「まあ、伯父が現役の陸防士官ですから。」

「あー、そうだったわね。ごめんなさい、忘れてたわ。」

「いえ、構いませんよ、先生。」

 先日の一件で、防衛軍に対する印象がすっかり悪化していた、立花先生なのであった。緒美としては、その心情を否定するものでもなく、唯(ただ)、それも仕方無いと、そう思う他は無かったのである。

「それで、部長。わたし達は、どうするんですか?」

 そう茜が尋(たず)ねて来るので、緒美は少し困った顔で応じる。

「どう、って。どうにも出来ないでしょ? 今日の事は、防衛軍に任せるしか。」

 すると、恵が「そうね。」と緒美に同意し、直美も「だよね。」と続くのだった。

「しかし、こんなに早く、次の襲撃が来るとは、思ってなかったですね。 ねぇ、立花先生。」

 深刻な表情で緒美が言うと、又、立花先生は苦笑いを返すのだった。そこで、クラウディアが問い掛けるのだ。

「所で、先生。今日、中断してしまった試験は、どうなるんでしょうか? 別の日に、再試験を?」

「申し訳(わけ)無いけど、今は分からないわね。日程的には、予備日の設定は有るらしいけど、同じ問題で再試験していい物かどうか。その辺りの判断じゃないかしら。 何(いず)れにしても、学校側からの発表を待ってちょうだい。」

 少しがっかりした様子で「そうですか。」とだけ、クラウディアが声を発するので、茜は気休めの積もりで言ってみるのだ。

「一年生の機械工学科は『材力』で、ノート持ち込み可の試験でしたから、同じ問題で再試験でも、別に問題は無い気がしますけど。学科や学年に因って違いが有るんでしょうか、その辺り。」

 茜の発言に、直ぐに反応したのは直美である。

「いや、そんなに違わないんじゃない?。因(ちな)みに、三年の機械工学科は『熱力』で、うちらもノート持ち込み可だったわね。二年は?」

 直美に話を振られて、瑠菜が答える。

「わたし達は『流体力学』でした。同じく、ノート可。情報は?樹里。」

 瑠菜に訊(き)かれ、樹里が答える。

「うちのは『情報Ⅱ』。同じく、ノート可。 一年は多分『情報Ⅰ』だったでしょ?維月ちゃん。」

「そうだよ。試験日程後半にはノート持ち込み可の、解答書くのが面倒臭(めんどうくさ)い専門教科が集中してるから、どの学科の、どの学年も同じ様な状況じゃない?」

 維月が応えると、ちょうどそこに通り掛かった金子が声を掛けて来るのだ。彼女達が集合しているのは、空間に多少の余裕が有るとは言え、シェルター入り口前の通路なのである。

「何、集(つど)ってんの、兵器開発部。又、何か、悪巧(わるだく)み?」

 その言葉には、直美が噛み付く。

「人聞きの悪い事、言うんじゃないよ、金子。」

「だって、貴方(あなた)達、前科、有るじゃん。天野さんも居るし。」

 金子は、そう言ってニヤリと笑うのだった。直美が苦笑いを返す一方で、恵が金子に問い掛ける。

「それは兎も角、電子工学科は、中断した試験科目は何だったの?」

「ん?『電工Ⅲ』だったけど、どうして?」

 素直に答える金子に、今度は直美が訊(き)くのだった。

「それって、ノートとか持ち込み可の奴?」

「うん、そうそう。何、何、試験の話してたの?」

 少しがっかりした様子の金子に、微笑んで緒美が説明する。

「まあ、そんな所よ。今日、中断した試験は、どうなるのかってのが、目下(もっか)の話題。」

「ああー、それなら。 試験問題と答案用紙、全部回収出来てるから、多分、今日の途中から再開だろうってさ。試験問題と答案用紙を全部、同じ人に再配布して。」

 それを聞いた直美が、金子に問い掛ける。

「何(なん)で、貴方(あなた)が、そんな事知ってるのよ?」

「そりゃあ勿論、先生に聞いたからよ。学年主任の福岡先生が言ってたんだから、多分、間違いないでしょ。」

「それ、話しちゃって良かったの?」

 恵が心配気(げ)に確認するので、金子は満面の笑みで答えるのだった。

「ああ、大丈夫、大丈夫。秘密にする必要も特に無いから、リークしても構わないって、そう言われてるからさ。再試験の日程が、明日なのか明後日なのか、それとも、もっと先なのかは、これから協議するらしいけどね。それも、今日中には発表が有るでしょ。」

「そりゃ、明日だったら、今日中に言って貰わないと。」

 呆(あき)れた様に言う、直美だった。そんな直美の様子には御構(おかま)い無しに、目を輝かせて金子は訊(き)いて来るのだ。

「それでさ、兵器開発部なら外の様子、何か情報が有るんじゃないの?」

「無いよ。」

 うざったそうに、直美は間を置かずに一言で返したのだ。それをフォローする様に、緒美が続ける。

「今の所、公式発表以上の情報は、わたし達も持ってないのよ。」

「そうかー、立花先生まで居るからさ、又、何かやろうとしてるのかと思っちゃったよ。」

 残念そうに言う金子の発言を受けて、険(けわ)しい顔付きで立花先生が言葉を返す。

「わたしは、又、貴方(あなた)達が変な事を考えているんじゃないかと心配で、様子を確認しに来たんです。」

 そう立花先生に言われて、緒美は苦笑いしつつ、「パン、パン」と二度、手を打って言うのだ。

「はい、そう言う訳(わけ)だから、この場は解散。皆(みんな)、各自のシェルターに戻ってね。」

 そう言い残し、緒美は自分の居たシェルターへと向かう。恵と直美は、その後を追うのだが、その場を離れた金子が通路の奥の方へと向かうのに気付いて、直美が声を掛けたのだ。

「金子、どこへ行くのよ?」

 金子は歩みを止め、振り向いて言った。

「ちょっと、トイレ~、一緒に行く?新島。」

「あはは、遠慮しとく。ごゆっくり、どうぞ~。」

 金子は右手を挙げて一往復、手を振ると、通路の奥側へと小走りで向かったのだった。
 他の兵器開発部メンバーも、その場を離れて各自のシェルターへと向かったのだが、その道中でブリジットはクラウディアに訊(き)いたのである。

「そう言えば、クラウディア。何(なん)で、PC、持ち込んでるのよ?」

「わたしは、どこへ行くにも必ず持ってるし、別に、止められなかったわよ? 貴方(あなた)達だって、PT、持ってるんでしょ?それと同じよ。」

 クラウディアが言う『PT』とは『Personal Terminal』の略で、彼女達が所持している『携帯端末』の事である。日本では一般に『携帯』若(も)しくは、『ケータイ』と呼ばれているが、海外では『PT』が一般的な呼称なのだ。
 茜は、クラウディアに言われて「それも、そうか。」と呟(つぶや)いたが、一緒に歩いていた樹里が捕捉説明をして呉れた。

「その手の情報器機は、何か有った時の為に、持ち込み制限はしてないのよ。」

「何かって、何(なん)です?」

 ブリジットが問い返すと、今度は瑠菜が応じるのだ。

「何か、は、何か、よ。何が起きるか何(なん)て、誰にも予想は出来ないんだから。その為の用心でしょ?」

「例えば、シェルターに避難している内に、地上が焼け野原になってたりしてたら、シェルターから出たあとの通信手段が必要になるでしょ? 情報も集めなきゃいけないだろうし。 当然、学校側でも、その為の準備はしてるのでしょうけど、機材の故障とか不測の事態が起きれば、生徒の手持ちの器材がバックアップに使えるかも知れないし。その時に、選択肢が多いのに越した事はないじゃない。」

 瑠菜に続いて維月が、少々物騒な例え話をするので、ブリジットは苦笑いで応えた。

「あはは、怖い事、言わないでくださいよ、維月さん。」

「飽く迄(まで)も、可能性の話よね、維月ちゃん。 じゃあね。」

 そう言って樹里が一団から離れ、彼女のクラスが入っているシェルターへと、戻って行った。
 そして、その隣のシェルターへ瑠菜と佳奈が、その次のシェルターには維月とクラウディアが、それぞれ入って行ったのである。
 茜とブリジットが、元のシェルターへ帰ると、九堂と村上が声を掛けて来るのだ。

「お帰り~。」

「何か、情報は有った?茜ちゃん。」

 茜は力(ちから)無く笑って、答える。

「ううん。取り敢えず、ガンバレ防衛軍、って感じかな。」

「それよりも、おなか、空(す)いたよね」

 そう言ってブリジットが、村上の隣に座った茜の、その隣に座るのだった。
 ブリジットの発言には、九堂が賛同して言うのだ。

「そうだね~もう十二時半になるもんね。」

 それから間も無く、それぞれのシェルターに放送がされたのである。
 それは教職員による聊(いささ)か長い放送だったのだが、大まかに内容は、次の通りだった。
 先ず、今暫(いましばら)く避難指示の解除は見込めないだろうと言う、見通しが語られた。その為、現時点で空腹を感じている者(もの)はシェルター各部屋に備蓄されている、飲料水や保存食を食べても良い、との事だった。医療品や保存食、飲料水はシェルター毎(ごと)に備え付けられている、茜達が腰掛けているシートの中に、入れられているのだ。
 但し、学食での昼食に向けての調理や準備は既に終わっていたので、その食材が無駄にならない様、避難解除後一時間程経過したら学食を開けるので、其方(そちら)の利用に就いても生徒達には依頼がされたのである。尚、その際の学食の利用料は、通常の半額だとアナウンスされたのだ。
 更に、調理スタッフが生徒達と同様に避難している為、寮での夕食に関しても準備開始が遅れるのは確実視されるので、当然、寮での夕食提供開始時間もずれ込むのだと説明がされ、それらの事情も総合的に勘案して、シェルター内での飲食に就いては、各自で調節して欲しい、との事だった。
 最後に、この日、中断された試験科目に就いては、翌日の午前十時から、この日の残り時間分、中断した続きから再開すると発表がされたのである。

 結局、避難指示が解除され、生徒達や学校の教職員達がシェルターから出られたのは、その放送から三時間程が経過した後の事だった。
 生徒達は避難の為に残した儘(まま)だった私物を取りに教室へと戻り、それぞれが一時間程の時間を潰して、夕方を前に遅い昼食を取る事になったのである。それは遅い昼食と言うよりは、早目の夕食の様でもあったのだが、寮での夕食の支度は、その頃から始まる事になっており、夕食の提供は午後九時頃からになりそうだと、改めて周知されたのだった。

 さて、この日のエイリアン・ドローンによる襲撃の方であるが。今回は領土上空への侵入を許す事無く、防衛軍は全機の撃墜を完了したのだった。
 急遽(きゅうきょ)、試験的に投入されたレールガン搭載護衛艦と、レーザー砲搭載護衛艦に就いては、それぞれに三機と四機の撃墜を果たした事が発表された。しかし、レールガンに就いては百六十四発が発射され、レーザー砲に就いては七十八回の照射が繰り返された事は、公式に発表される事は無かったのである。それぞれに撃墜率は凡(およ)そ 2%と 5%程度であり、余り高いとは言えない結果ではあった。
 レールガンに於いては、砲弾を命中させるのが兎に角、困難であり、照準システムの更なる改良が必要だった。とは言え、イージス艦から大量の艦対空ミサイルを打ち上げる事を考えれば、レールガンで砲弾をばら撒(ま)く程度なら、コスト的には十分(じゅうぶん)見合うのである。今後、検証の課題となるのは連射速度と、レールガン用砲弾の搭載量であろうか。
 一方で、『音速』の数倍程度で飛翔するレールガンの砲弾に対して、『光速』で目標へとビームが到達するレーザー砲は、命中させる事自体はレールガン程の困難さは無かったのだが、此方(こちら)は、その威力の低さがネックだった。一度の照射でエイリアン・ドローンの機体に小さな穴を開けた所で、それは、なかなか致命傷には至らず、破壊的な効果を得る迄(まで)、十数回は照射を繰り返す必要が、レーザー砲には有ったのだ。これは、砲台の目標に対する追従速度が比較的遅い事に起因していて、光線を確実に命中させ、且つ、照射態勢を維持し続ける為には、攻撃対象に対して十分(じゅうぶん)な距離が必要となっていたのだ。何しろ、元は弾道ミサイル迎撃用のシステムなのである。自由に機動する目標に追従して照射を続けられる様な、砲台の設計ではなかったのだ。
 原理的には、レーザー光の強さは、距離の二乗に反比例する。目標との照射距離が近付けば、それだけ照射されるレーザー光の威力も増すのだが、そうすると今度は、砲台が目標の動きを追跡出来なくなるのだ。しかし一方では、目標に接近し過ぎればレーザー砲搭載艦自体が反撃を受ける可能性が高くなり、その辺りのバランスが今後の検証課題なのである。
 勿論、この様な細かい技術的な情報が、公式に発表される事は無いのだ。

 

- to be continued …-

 

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