WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第18話.07)

第18話・新島 直美(ニイジマ ナオミ)

**** 18-07 ****


「プローブ1 から 4、データ・リンク確立。プローブのステータスを受信。ロケット・モーター燃焼終了、ターボプロップ起動を確認。」

 クラウディアは、淡淡と経過を報告して行く。それを受けて随伴機からは樹里が、クラウディアへ指示を出すのだ。

「AHI01 より、HDG03。プローブ各機、予定位置に到達。HDG03、スキャンを開始してください。」

「HDG03、了解。電波源スキャンを開始します。 Sapphire、『プローブ』からのデータ取得、開始して。」

「ハイ。データ受信チャンネル 1 から 4 を解放。電波源スキャンを開始します。解析データ照合がヒットする迄(まで)、少々、お待ちください。」

 今度は緒美が F-9 改各機へ、指示を出す。

「AHI01 より、ECM01、02。両機共、目標の通信スキャンを始めてください。予定通り、妨害電波の発信は防衛軍の迎撃ミサイルの到達直前まで待機を。間違っても先に発信しないように。」

「ECM01、了解。スキャンを開始します。」

「ECM02 了解。スキャン開始。」

 F-9 改からの返事は、それぞれの後席、直美と樋口からである。
 随伴機の機内で緒美は、樹里が操作するコンソールの表示を覗(のぞ)き込んで、声がヘッドセットのマイクに拾われないように気を付けつつ尋(たず)ねるのだ。

「どう?城ノ内さん。スキャンの様子は。」

 樹里もマイク部を押さえ乍(なが)ら、ディスプレイを見詰めた儘(まま)で言葉を返す。

「今の所、スキャンに引っ掛かりませんね…『トライアングル』同士の通信は、そこそこ引っ掛かってますけど。」

「『トライアングル』と『ペンタゴン』の通信に区別が付くようになったのは僥倖(ぎょうこう)だったけど、発信して呉れない事にはどうしようもないわね。」

「そのカルテッリエリさんと Sapphire の分析の成果も、まだ仮説ですからね。データを積み上げて、早く確認が出来ればいいんですけど。」

「まあ、焦らずにやりましょう。」

 緒美は微笑んで、樹里の肩を軽く叩くのだった。
 そこに、クラウディアが通信で言って来るのだ。

「HDG03 より AHI01。今の所『ペンタゴン』は沈黙している様子で、スキャンに掛かりません。引き続き、スキャンを継続します。」

「此方(こちら) AHI01、了解。焦らないでスキャンを続行して。多分、防衛軍の迎撃が始まったら、下位に対する通信量が増える筈(はず)だから。チャンスは、その時よ。」

「HDG03、了解。スキャンを継続します。」


 クラウディアの返事を聞いて、緒美と樹里は視線を合わせて互いに微笑むのだった。
 そこに、防衛軍側からの通信が入る。その声の主は、桜井一佐である。

「統合作戦指揮管制より、AHI01。其方(そちら)側、準備はいいかしら?」

 その呼び出しに応えるのは、緒美である。

「此方(こちら)、AHI01 です。準備は完了、何時(いつ)でも始めてくださって結構です。」

「了解。現在、探知している敵機は五十四、全機が防空識別圏に入った時点で迎撃を開始します。其方(そちら)には計画通りに電子戦支援の実施をお願いします。此方(こちら)からは以上です。」

「AHI01 了解。作戦(オペレーション)の成功を。」

「ありがとう、AHI01。」

 桜井一佐の返事を聞いて、緒美は各機に指示を伝えるのだ。

「AHI01 より各機へ。指揮管制からの伝達は聞いてたと思うけど、全て、予定通りに実施しますので、待機していてください。ECM01、02、電子攻撃開始のタイミングは此方(こちら)で指示します、宜しく。」

「此方(こちら)ECM01、了解。」

「ECM02 も了解。宜しくねー。」

 直美と樋口から返事が有って間も無く、海上で待機していた海上防衛軍のイージス艦から、艦対空ミサイル五十四発が発射されたのだ。
 イージス艦は通例通り対馬五島列島の近海に配置されている為、対馬五島列島間上空を折返し飛行しているクラウディア及び、加納と直美、沢渡と樋口、電子戦担当者には、対馬沖の海面付近から上空へと、そして西向きに飛翔する艦対空ミサイルの白い噴煙がはっきりと確認出来たのである。
 艦対空ミサイルの発射位置からエイリアン・ドローン迄(まで)の距離は、大凡(おおよそ)百三十キロメートル。目標に到達する迄(まで)に、二分弱が必要なのだ。
 緒美は前回と同様に戦術情報画面を見詰め、電子攻撃開始のタイミングを待つ。

「ECM01、ECM02、電波妨害、開始。」

 緒美が指示を出すと即、直美と樋口から相次いで反応が返って来る。

「ECM01、電波妨害開始。」

「ECM02、開始しました。」

 それから少し遅れて、クラウディアの声が聞こえて来るのだ。

「HDG03、『ペンタゴン』の通信、傍受(キャッチ)しました。電波源の位置特定、演算を開始します。」

 透(す)かさず、緒美が追加の指示を送るのである。

「AHI01 より、HDG02、01。取り敢えず西へ五十キロ、進出開始。」

 ブリジットと茜からは、直ぐに報告が返って来た。

「此方(こちら)HDG02、方位(ベクター) 270 へ、速度(スピード) 13.2 で飛行中。」

「HD01 です。HDG02 の右、五十メートルで随伴中。」

 ここで、ブリジットの言う速度(スピード)の単位は『分速キロメートル』で、時速に換算すると約八百キロメートルであり、それは HDG-B01 飛行ユニットの出せる最高巡航速度である。

「AHI01、了解。予定通り、位置特定が出来る迄(まで)に、出来るだけ距離を詰めておいてね。」

「分かってまーす。HDG03、位置特定は、まだ?」

 ブリジットは、からかい半分でクラウディアを急(せ)かすのだ。
 一方でクラウディアは、落ち着いて声を返すのである。

「もうちょっと、待って。反応が三つ出てるから…。」

 その時、茜とブリジットが飛行している前方に、幾つかの小さな閃光が微(かす)かに見えるのだった。イージス艦から発射された対空ミサイルが、次々と起爆したのである。
 エイリアン・ドローン『トライアングル』の飛行高度は凡(およ)そ一万二千メートルから降下して来ており、一方で茜達は高度五千メートル付近を飛行していた。この時点で高度差が凡(およ)そ六千メートル以上、水平方向でも距離が百キロメートルは離れており、肉眼ではっきりと爆発や火球が見えた訳(わけ)ではない。
 茜は戦術情報画面で、複数のエイリアン・ドローンが撃墜された事を確認するのだ。

「防衛軍のレーダー反応で、残り二十六機…又、出鱈目な回避機動をやってる。」

 画面上のエイリアン・ドローンを表すシンボルが右往左往している様を見て、茜は独りで呟(つぶや)く様に言った。続いて茜に、緒美が言うのだ。

「HDG01、今は貴方(あなた)達の方が近付いて行ってるから、警戒してね。」

「HDG01、了解。」

 茜が返事をすると、今度はクラウディアの声である。

「HDG03 です。演算終了、目標の位置、三つ出ました。データ・リンク、確認願います。」

 それを受けて、緒美から茜に指示が出されるのだ。

「HDG01、特定された方向を、AMF の画像センサー、最大望遠で画像を送って。」

「HDG01、了解。Ruby、最大望遠で、指定座標の空中を撮影。ここと、ここと、ここ。」

 茜は戦術情報画面に表示されている、クラウディアと Sapphire が特定した『ペンタゴン』の所在位置シンボルを続けて指定するのだ。

「ハイ、指定座標を撮影します。」

 Ruby は AMF の画像センサーを順番に指定座標へと向けるのだが、表示されているのは空のみである。その画像は、随伴機のコンソールにも同時に送られており、緒美と立花先生、そして樹里とが確認したのだ。
 そこに、ブリジットの声が届く。

「特定座標をロックしました、射撃準備しますか? AHI01。」

 緒美は、即座に指示を返す。

「HDG02、ちょっと待機してて。 HDG01、赤外線画像もちょうだい。」

「HDG01、了解。」

 そして送られて来た赤外線画像にも又、何も映ってはいないのである。勿論、防衛軍のレーダーにも反応は無いのだ。
 立花先生は、呆(あき)れた様に呟(つぶや)く。

「本当に、何も映らないのね。演算は間違ってないのよね?」

「先(ま)ずは Sapphire を信じましょうよ、先生。」

 緒美が微笑んで言うと、樹里は真面目な顔で訊(き)くのだ。

「それじゃ、攻撃を?」

「その前に、もう一つ確認を…。」

 そう緒美が応える途中、クラウディアの報告が割り込んで来るのである。

「HDG03 です。目標が通信周波数を切り替えたみたいです。ECM01、ECM02 も、再スキャンを実施してください。」

「AHI01 です、HDG03、もう一度、位置特定が出来たら、報告してね。」

「HDG03 了解。」

「AHI01 より 統合作戦指揮管制へ。此方(こちら)で特定した座標の観測は、済みましたでしょうか?」

 緒美の問い掛けには、桜井一佐が答えたのだ。

「此方(こちら)、作戦指揮管制です。結果だけを言えば、全て『反応無し(ネガティブ)』。此方(こちら)側でも、全てのセンサーで検出が出来ませんでした。それでも、その場所に目標が存在するなら、『光学ステルス』ってのは原理は分からないけど、とんでもない代物(しろもの)って事ね。 これ、計算の間違いではないですよね?例えば、電波の何らかの反射による虚像だとか。」

「そう言う事は無いと思います。検出の原理は、極めて単純(シンプル)ですから。精度の方は、先日の試験で確認した通りですし。」

「そうですね。」

「そこで、確認しておきたいのですが。」

「何(なん)でしょう?」

 そこでクラウディアから、報告が入るのである。

「HDG03 より AHI01。目標の位置を再特定。」

「HDG03、AHI01 です。再特定した位置は、前回から移動してる?」

「いえ、ほぼ同じ座標です。」

「了解。HDG03 は、その儘(まま)、追跡を継続して。」

「HDG03、了解。」

 緒美とクラウディアとの遣り取りが終わると、桜井一佐が尋(たず)ねて来るのだ

「計算結果が変わらないって事は、矢張り、計算は合っているって事かしら?AHI01」

「はい、そう判断します。」

「それで、話を戻すけど。確認しておきたい事って?」

「その座標です。特定した目標は三つとも、防空識別圏の外側なので、これを攻撃すると何か問題になるでしょうか?」

「ああ…。」

 桜井一佐は一声(ひとこえ)を発したあと、暫(しばら)く沈黙したのだ。それから十秒程が経って、桜井一佐は発言を続けるのである。

「…ああ、ごめんなさい。えー、各種センサーで検出出来ないって事は、そこに存在しているのか確証は無いって事よね?」

 桜井一佐の奇妙な問い掛けに、取り敢えず緒美は同意する。

「まあ、そうですね。」

「存在の確証が無い所へ射撃するって言うのは、それは虚空(こくう)に向かって発砲するのと同じよね?」

「はい?」

「虚空(こくう)に向かって撃ったのに、何かに当たったとしたら、それは事故と同じじゃないかしら?」

「えー…。」

 この時点で既に、緒美は桜井一佐が展開する謎論理の理解を、諦(あきら)めたのである。桜井一佐は、更に続ける。

「仮に、その虚空(こくう)に何者かが存在していたとして、我々が検知出来ない技術を持っている其(そ)の物が、地球の上の技術で作られた物体でない事は明らかだし、だとすればそれは『エイリアン・クラフト』であると判断されるわ。」

「はあ。」

 だが取り敢えず、相槌(あいづち)だけは打っておく緒美である。

「それが『エイリアン・クラフト』であれば、それはどこかの国家の財産ではないし、地球上の誰の財産でもない。なら、それを破壊したとしても、誰からも文句を言われる筋合いは無いわね。そもそも、事故みたいなものだし。 そう言う訳(わけ)だから、計画通り、射撃を許可します。責任は、わたしが持つわ。」

「あの…。」

 緒美は、念の為にと桜井一佐に尋(たず)ねてみるのだ。

「…先程、『エイリアン・クラフト』と云われましたが。目標にエイリアンが搭乗している可能性を、お考えなのでしょうか?」

 その可能性は今迄(いままで)、緒美は一切(いっさい)考慮した事が無かったのである。

 

- to be continued …-

 

※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。
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