WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第3話.04)

第3話・Ruby(ルビィ)・1

**** 3-04 ****


 一頻(ひとしき)り動作を繰り返した後、そろそろポーズのネタも尽きたので、茜は一息吐(つ)いて樹里に尋ねる。

「この位(くらい)で、どうでしょうか? 追従度のスコアは取れてますか、樹里さん。」

「どんな感じ?」

 樹里の傍(そば)に立っていた緒美も、コンソールのモニターを覗き込んだ。

「逸脱率は0.02%、追従度のスコアで9.9、問題無いレベルですね。」

 HDG の FSU は、装着者(ドライバー)とは独立した駆動系で動作している。その為、装着者(ドライバー)のインナー・スーツが拾い上げる動作と、FSU の動作タイミングに大きなズレが有ると、それは装着者(ドライバー)の関節や筋肉への負荷となってしまう。一方、動作タイミングにズレが無くても、動作量に大きな誤差が有ると、これも装着者(ドライバー)への負担となる。停止位置が極端に違ってしまうと、装着者(ドライバー)が骨折する可能性も、容易に想像出来るのだ。
 そう言った危険が考えられるので、茜に HDG を装着させない『疑似接続』で先ず、動作タイミングのズレや、オーバーシュートのデータ取りを行っていたのだった。

「良し。それじゃ、次はいよいよ接続起動の確認へ行きましょうか。」

「取り敢えず、疑似接続コマンドを解除しますね。…続いて、HDG の姿勢を初期化します。」

 樹里がコンソールのキーボードを操作すると、HDG の FSU が初期姿勢に戻り、その後に上部フレームが後方へ跳ね上がり、腰部接続リングと脚部パーツが開放状態に移行した。

「じゃ、やってみます。」

「あ、ちょっと待って、天野さん。」

 HDG へ歩み寄ろうとした茜を、緒美が呼び止めた。

「接続する時は、ヘッド・ギアを外してね。ヘッド・ギアを着けた儘(まま)だと、上部フレームが降ろせないから。」

「あぁ、はい。」

 茜は言われた通り、ヘッド・ギアを一旦外し、HDG の方へと向かった。その間に、メンテナンス・リグに接続された HDG へ登る為のステップラダー(階段状の踏み台)を佳奈が移動させ、メンテナンス・リグの左前方に設置していた。茜がそのステップラダーに、足を掛けようとした時だった。二階廊下から、立花先生の声が聞こえて来た。

「ちょっと、待って~。」

 立花先生は二階廊下を駆け足で渡ると、リズミカルに足音を響かせ、階段を降りて来る。そして、格納庫一階に下りた後は、小走りで緒美達の傍(そば)へと到着した。

「…本番はこれから、の様ね。ぎりぎり、間に合って良かったわ~。」

「取り敢えず、疑似接続での動作確認まで終わった所です。」

 息を切らし気味の立花先生に、緒美が極簡単に状況を説明する。

「映像は撮ってる?」

「ちゃんと、録画してますよ~。」

 何時(いつ)の間にか、恵がカメラをセットしていたのに、茜はその時、気が付いた。

「良かった。中断させちゃってゴメンね。続けて、天野さん。」

「はい。」

「あ、ヘッド・ギアは一旦、こっちで預かるわね、茜ン。」

 ステップラダーの脇に立っている佳奈にヘッド・ギアを渡すと、茜は最上段が背丈よりも高い、ステップラダーを上がっていった。
 頂部に立つと一度そこに腰を下ろし、両脚を揃えて HDG の腰部リングへと差し込む。

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 両手をステップ面に着いて腰を浮かし、HDG の方へ身体を寄せていく。両脚が HDG の脚ブロックに届くと、一旦、その上に立って身体の向きを正面に変え、今度は両手で腰部リングを掴んで身体を支え、自身のブーツ部分を脚ブロック内側開口部から中へと入れていく。脚ブロック内部にはバイクの様な棒状のステップが有るので、そこにブーツの踵(かかと)を引っ掛ける様に足を乗せ、同時にブーツ上部の接続プラグを脚ブロックのソケットへ填(は)め込んだ。
 足の位置が定(さだ)まると、背中のパワー・ユニットを HDG の背部ブロックへ填(は)め込む様に、上体を HDG へ預けていく。

「接続します。」

 茜は右手で、インナー・スーツの左手首に有るスイッチを押した。すると、乾いた動作音と共に、インナー・スーツ背部パワー・ユニットに HDG 側のフックが掛かる振動が伝わって来た。次に、腰部リングが収縮し、左右脚ブロックの開口部が閉鎖する、そして同時に、上部フレームがゆっくりと前へと降りて来た。上部フレームが降り切って固定されると、ステップラダーを登って来た佳奈が茜の前にしゃがみ込んで、ヘッド・ギアを茜の頭に装着したのだった。

「痛くない?」

「はい、大丈夫です。」

 茜はヘッド・ギアのスクリーンを下ろして、機体ステータスの確認をした後、右腕、左腕の順に腕ブロックへ自身の腕を通し、グローブ基部のプラグを腕ブロックのソケットに接続した。

 

- to be continued …-

 

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