WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ WebLog です。

STORY of HDG(第6話.07)

第6話・クラウディア・カルテッリエリ

**** 6-07 ****


「そう言えば、ここは町の方にも、シェルターは余り無いの?」

 茜は西本さんに、地元の事情を聞いてみる。

「市役所の駐車場の地下と、中央公園位(くらい)じゃない?シェルターが出来てるのって。一般の会社とか住宅で、シェルター付きなんて聞いた事無いし。まぁ、田舎だからね~今迄(まで)エイリアンのが飛んで来た事も無いしさ。」

「でも、陸上防衛軍の基地とか、町外れに有るのよね?」

 今度はブリジットが問い掛ける。

「演習場よ。所謂(いわゆる)、基地って感じじゃなくって、徒(ただ)の原っぱらしいし。だからエイリアンは狙って来ないだろうって、うちの親とか、そう言ってる。」

「矢っ張り、地域で随分、差が有るのね。」

 中学時代の感覚を忘れていたのも無理は無い、と、そう思う茜とブリジットの二人だった。

「さっき、教室でさ、男女別に分かれるように言われて、ちょっと、えっ、て思ったんだけど。ここに来て納得って、思ったわ。」

「どうして?」

 唐突に西本さんが、話題の方向性を変えて話し出すので、茜が聞き返した。

「だって、この狭い感じだと、男子達と一緒に入るの、何か嫌じゃない?」

「あぁ~まぁ、確かに。」

 西本さんの意見に、茜とブリジットは「言われてみれば」と同意し、クスクスと笑う三人だった。

 それから十五分程して、今度は生徒会の女子役員がシェルター内の人数確認に訪れた。

「現在、人数の集計をやっています。訓練終了の放送が有る迄(まで)、ここで待機しててください。」

 人数確認を終えると、女子役員はそう言い残して立ち去ったのだった。
 茜はポケットから自分の携帯端末を取り出し、時刻を確認する。

「もうすぐ、お昼になるのね。」

 隣に居たブリジットが、茜が携帯端末を取り出したのを目に留め、声を掛ける。

「ここって、電波、入ってるの?」

「ううん、この中はダメみたいね。通路に出たら、通信出来るエリアが有るのかな。」

 その、二人の会話に気が付いた西本さんが、茜に話し掛ける。

「あぁ、トイレの前辺(あた)りの通路だと、電波が入るみたいよ。さっき行った時に、何人か端末を弄ってる子を見かけたわ。」

「あぁ、そうなんだ。」

「ニュースでも見るの?天野さん。」

「違う違う。時間を確認しただけ。一応、授業時間中だから携帯弄ってるのマズイでしょ、ホントは。」

 茜は、携帯端末をポケットに仕舞った。

「天野さんは真面目よねぇ。」

 そう言って、西本さんは笑うのだった。
 それから程無くして、シェルター内に生徒会の放送が始まると、それ迄(まで)ざわついていたシェルター内が、急に静まり返るのだった。

「避難人員の集計、確認が完了しました。今回は確認完了迄(まで)、所要時間は三十一分二十一秒でした。過去の最短記録は十八分三十二秒です。次回訓練では記録更新出来るよう、全校生徒の協力をお願いします。以上を持って、今回の避難訓練を終了しますが、シェルターからの退出時は通路が混雑するので、押し合わない様、注意してください。シェルターは全員退出後、閉鎖、施錠されますので、全員、自警部担当者の誘導に従って退出し、シェルター内部に残らないでください。誘導担当の自警部部員が到着する迄(まで)、各自、シェルターからは勝手に出ないように、お願いします。以上、放送を終わります。」

 放送が終わると、再び、シェルター内はざわめき始める。放送を聞く為に中断したおしゃべりを再開する者、訓練が終わっても直ぐにシェルターから出られない事に不平を口にする者、四時限目の授業が潰れた事を喜ぶ者等(など)、内容は様々だったが、総じて混乱した状況では無い種類の「たわいの無い」ざわめきである。
 そうこうする内、誘導担当の自警部部員が到着したが、それは教室からこのシェルター迄(まで)の誘導を担当した女子自警部部員だった。

「一年AB女子、四十六名。全員揃ってる?トイレとか行ってる人はいないわね。」

 その女子自警部部員はそう言って人数を確認すると訓練本部へ連絡をし、茜達の退出の誘導を開始した。

「はぁい、じゃ、みんな通路へ出て。一階廊下に出るまでは付いて来てね。一階に出たら、そこで解散していいから。」

 茜達は再び、校舎へ繋がる地下通路を歩き出す。茜は列の先頭付近にいたので、自分たちのグループの前を歩いている別グループの後端が見えた。恐らく、一年C組とD組の女子だろうと思った茜だったが、だとすればD組のクラウディアと維月がいる筈(はず)だが、茜には二人の姿は見付けられなかった。クラウディアは列の先頭の方にいるのかも知れない、そう茜は思った。一際背の高い維月位(ぐらい)、列の後ろからでも分かりそうな物だが、前方のグループには飛び抜けて背の高い姿は見受けられなかったので、或いは、前のグループは一年C組とD組ではなかったのかも知れない。
 黙々と通路を進んでいる内に、ふと、気になった事を、茜は誘導担当自警部部員の上級生に質問してみた。

「あの、ちょっと聞いていいですか?」

「何?どうぞ。」

「さっきの放送で、避難に掛かった時間が三十一分とかって言ってたんですけど。今回は普段よりも特別、時間が掛かってたんですか?」

「あぁ、あれね。毎年、最初の避難訓練は時間が余計に掛かるのよ。不慣れな一年生が参加してるのと、運営してる側は、慣れた人が卒業したあとだから。毎年、回を追う毎(ごと)に段々タイムが上がっていくから、今回が特別、出来が悪かったっていうことじゃないわ。」

「成る程、そう言う事ですか。ありがとうございます。」

「どういたしまして。」

 間も無く一同は一階廊下に到着し、そこで漸(ようや)く解散となったのである。

 

- to be continued …-

 

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