WebLog for HDG

Poser 用 3D データ製品「PROJECT HDG」に関するまとめ bLOG です。

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STORY of HDG(第16話.04)

第16話・クラウディア・カルテッリエリと城ノ内 樹里(ジョウノウチ ジュリ)

**** 16-04 ****


「まあ、結論から言うと。次にエイリアン・ドローンの襲撃が発生したら、わたし達も実戦に参加して、そこでC号機の能力を検証してはどうか、と。防衛軍側の許可とか協力とか、話は通してあるってね。 勿論、命令でも強制でもないから、必ずしも従う必要は無いんだけれど。」

「先週の一件で、防衛軍側のハードルが下がっちゃった感じでしょうか? 以前なら、民間が~って云われてたでしょうけど。」

 茜の意見に、立花先生がコメントを返す。

「まあ、その可能性も有るけど。この件に関しては桜井一佐が、防衛軍(あちら)側で可成り動いて呉れたみたいなのよ。」

 続いて樹里が、少し具体的な問題を提起するのだ。

「仮に参加するとして、ですよ。次の襲撃が何時(いつ)なのか、予定は立たないですよね? 平日の授業中だったりしたら、どうなるんでしょうか。放課後とか、休日に発生した襲撃のケースを選んで、わたし達が参加する、とか?」

 その疑問には苦笑いで、立花先生が答える。

「飯田部長が云うには、その時はこの地域に避難指示を発令させて、学校の方は授業を中断させることも出来るだろう、だって。」

「無茶、云うな~飯田部長。 大体、襲撃されるのは九州の西側からなのに。ここの辺りに避難指示を出させるなんて、そんな事、可能なんでしょうか?」

 茜も苦笑いで問い掛けるので、今度は緒美が真面目な顔で答えるのだ。

「いえ、無理な話じゃないわ。自治体の危険度判定は、結局は防衛軍の発表に左右されるから。だから防衛軍が『危ない』って云えば、自治体の側は、それを無視出来ないわね。 それに、学校の周辺が避難態勢になって呉れていれば、HDG が学校から出て行くのが、人目に付き難いって効果も期待出来るし。」

「あと、前回みたいに、日本海側からこっちに向かって飛んで来るケースも、まだ可能性としては有るからね。」

 立花先生の補足コメントに続いて、再(ふたた)び緒美が説明する。

「器機の性能や機能が、仕様に合致しているかだけで良ければ、まあ、設定した電波が、仕様通りの出力で発信されているかを測定すればいい話なんだけど。徒(ただ)、それは相手に対して効果が有るかどうかの判定にはならないのよね。その判定を、わたし達がやらないといけないのか、と言うのは、又、話が違うのかも知れないんだけど。」

 そこで樹里が、ソフト担当者としての見解を表明するのだ。

「でも、例えば ECM 機能だけにしても、エイリアン・ドローンが使っている周波数帯を割り出して、それに追従して妨害電波を出すのを Sapphire に自動化させる部分、机上設計だけで完成とはいきませんから。現場で使ってみないと、どこに手を入れたらいいのかも解りませんし。その辺りのプログラム修正や調整の為に、カルテッリエリさんにC号機のドライバーになって貰った訳(わけ)ですし。 勿論、わたしだって、一年生達に実戦参加しろなんて、言いたくはありませんけど。何か、いい方法は無いものでしょうか?」

「開発を進めている内に、何かいい評価方法を考えるつもりでいたのだけれど。そこの所は、わたしの見通しが甘かった、としか言えないわね。 矢っ張り、C号機の電子戦機能は器機の能力が設計仕様に合致しているか確認する迄(まで)を、此方(こちら)で行って、最終的には防衛軍に試験運用を移管してから、最後の仕上げは防衛軍と遣り取りし乍(なが)ら、時間を掛けて本社の方で進めるて貰うしかないかしらね。」

 そう言って、緒美は溜息を吐(つ)くのだった。それには、茜が声を上げるのだ。

「ちょっと待ってください、部長。何も、C号機を単機で前線に放り込もうって、そんな話じゃないんでしょ?」

「勿論、空防が護衛の戦闘機を付けて呉れるとは云ってるし、A号機やB号機を参加させるのも、防衛軍側は拒否はしないそうだけど。」

「でしょう? 基本的に電子戦機は、攻撃や格闘戦には直接参加しないんですから、それ程心配しなくても。向こうは、飛び道具を持ってないんだし、距離に気を付けてさえいれば大丈夫ではないでしょうか。」

「そうは言うけど、天野さん。ECM に効果が有った場合は、妨害電波の発信源が、真っ先に狙われる可能性が有るわ。そう言う危険性は、過小評価しては駄目よ。」

ECM に効果が有るのなら、向こうの能力(パフォーマンス)は相当に落ちてる筈(はず)です。勿論、敵の数にも拠りますけど、対処が出来ないとは限りません。 試験参加中の危険度判定に就いては此方(こちら)の判断で、退避や撤退が出来る条件にして貰えるなら、受けてもいいと思います。当然、わたしも護衛に出ますよ。ブリジットは、訊(き)いてみないと解りませんけど。」

 すると、樹里が笑って言うのだ。

「あはは、そんなの訊(き)かなくったって。 天野さんが参加するって聞いた時点で、ボードレールさんが黙ってる訳(わけ)がないでしょ。ねぇ、部長。」

「事の善し悪しは兎も角、そうでしょうね。」

 そう、緒美も微笑んで応えるのだ。「ええ~。」と声を上げる茜を置いて、緒美は樹里に問い掛ける。

「仮に、だけど。実戦の後方にC号機を参加させて評価試験を行う方針として、カルテッリエリさんは引き受けて呉れるかしら? 彼女が嫌だって云ったら、勿論、やらない訳(わけ)だけど。」

 樹里はくすりと笑い、答える。

「まあ、二つ返事で『オーケー』ですよね。」

「それは、あの…『恨み』的な動機でしょうか?クラウディアの友達の。」

 心配気(げ)な顔で問い掛ける茜に、樹里は頭を横に振って、応える。

「まあ、それも有るだろうけど。今は、貴方(あなた)への対抗意識の方が強いでしょ。 何時(いつ)だったか、『自分も役に立ちたい』って云ってたし、ね。」

 続いて、立花先生が真面目な顔で言うのだ。

「茜ちゃんやブリジットちゃんと違って、クラウディアちゃんの場合、戦闘とか不慣れだと思うし、そう言う事に向いた子じゃないでしょう? 大丈夫かしら。」

 その懸念に対して、気休めにもならない見解を示すのが緒美である。

「そもそもが、C号機は格闘戦には向かない機体ですから。カルテッリエリさんも、それは理解してるでしょう?」

 そして、茜が続く。

「仕様的には、アレが人型(ひとがた)をしている必要も、余り無いんですよね。戦闘機とかに AI のユニットと、電子戦用の機材を積み込んだ形式でも良かった様に思うんですが。」

 その茜の疑問には、微笑んで緒美が答えるのだ。

「まあ、そこはね。自力で最低限の反撃が出来る様にして、生存性を向上させようって意図ではあるんだけど。最終的には格闘戦の能力は Sapphire 次第ではあるから、当面は LMF の時みたいに Sapphire に格闘戦のシミュレーションをやらせて、経験値を上げておく可(べ)きよね。」

「取り敢えず、C号機に物理攻撃の装備が無い事に、わたしとしては安心してるんですけどね。攻撃能力が有ると、流石のカルテッリエリさんでも、余計な事を考えてしまうかも知れないので。」

 緒美に続いて発言した樹里に、立花先生が怪訝(けげん)な顔付きで尋(たず)ねる。

「エイリアン・ドローンに対する復讐、的な?」

「仲の良かった幼馴染みを亡くした事、二年や三年で消化できる訳(わけ)、無いじゃないですか。能力や機会が有ったら、誰だって『復讐』や『敵討(かたきうち)』は考えるでしょう?」

 そう話す樹里に、緒美が問い掛ける。

「カルテッリエリさんと、そんな話を? 城ノ内さん。」

「いえ。その手の話題に就いて直接的な話は、した事は無いですけど。でも内心に、そんな『怒り』を、カルテッリエリさんが抱えた儘(まま)なのは、多分、間違いないですよ。それは、見てれば解ります。」

 答えた樹里の表情は、少し遣(や)る瀬無(せな)いのだった。そして同じ様な顔で緒美は、「そう。」とだけ返したのである。
 そこで、議事を進める為に立花先生が提案するのだ。

「取り敢えず、樹里ちゃん。一応、クラウディアちゃんの意思を確認して呉れる? 実戦でのC号機の評価試験をやるかどうか。その答えを聞いてから、さっきの茜ちゃんの条件も入れて、本社と交渉してみるから。

「わたし、何か提案しましたっけ?」

 唐突(とうとつ)に立花先生に引き合いに出され、何(なん)の事か咄嗟(とっさ)に思い当たらなかった茜は、立花先生に聞き返す。
 すると、立花先生は微笑んで答えるのだ。

「言ってたじゃない。退避や撤退の判断は此方(こちら)で、って。重要な提言よ。」

「あ~、それですか。思い出しました、はい。 拾って頂いて、ありがとうございます、先生。」

 そんな二人の遣り取りに、くすりと笑って、緒美が声を上げる。

「それでは、C号機の能力検証の方針に就いては、その様にしたいと思います。 じゃ、次の件ね。実は、今日、集まって貰ったのは、こっちが本題なのだけれど…。先に言っておきますけど、立場上、立花先生は一切コメントしてくださらなくて結構ですから。」

「何(なん)の話かしら、怖いわね。」

 眉を顰(しか)めて立花先生が返した言葉に、一瞬、苦笑いを浮かべた緒美は、話を続けるのだ。

「何(なん)の話かと言うと、本社、或いは政府が、HDG の開発を容認している理由と、Ruby の開発目的、使用用途に就いて、そんな話です。」

「ちょっと、緒美ちゃん!…」

 勢いで少し大きな声を出す立花先生を、緒美も少し大きな声で制するのだ。

「以降は全部、わたしの個人的な予想ですから。先生はコメントしないでくださいね。」

 そう緒美に釘を刺され、立花先生は上半身を引いてソファーへと預け、胸の前で腕組みをした右手の指先を唇に当てる様にして口を噤(つぐ)み、それ以降は口を出さずに聞き取る事にしたのだ。
 その一方で、茜が緒美に問い掛ける。

「予想、なんですか?部長。」

 緒美は、微笑んで簡潔に答える。

「そうよ。全部、状況証拠から積み上げた、徒(ただ)の仮説。一切(いっさい)、確証は無いわ。」

 今度は樹里が、緒美に尋(たず)ねるのだ。

「それを、どうしてわたし達に?」

「最初はわたしも、この思い付きを誰にも話すつもりは無かったのだけど。貴方(あなた)達なら、冷静に聞いて呉れるだろうと思ったのよ。もしかしたら、何か解決策も、アイデアが得られるかも知れないし。」

「解決しないといけない、何かそんな用件が有るんですか?」

 茜が、そう問い掛けると、緒美の表情から笑みが消え、そして緒美は答えたのだ。

「この儘(まま)、計画が進行すると、二年か三年先に、Ruby はミサイルの誘導装置として消費されてしまうわ。」

「誘導装置? Ruby が?」

 驚いて聞き返す茜に、緒美は黙って、唯(ただ)、頷(うなず)く。
 次に声を上げたのは、樹里である。

「え~と…どうして、そう言う話になるんでしょうか?部長。」

「そうね。順を追って話さないと、理解出来ないでしょうね。」

 緒美は一度、深く息を吐(は)き、再(ふたた)び話し始める。

「先(ま)ず、HDG に就いてだけど。 政府は HDG を将来的に採用する積もりは無いし、本社も売り込む気は無い。それなのに本社は開発を続けてるし、防衛軍は協力をして呉れてる。何故だと思う?天野さん。」

「それは、完成すれば利用価値がって言うか、採用される可能性が少しでも有るから、では?」

「それは無いわね。HDG の生産コストが物凄く安くなれば、可能性が有るのかも知れないけど。実際には、それは有り得ない話だわ。」

 そこで、樹里が口を挟(はさ)む。

「でも、何かしらメリットが有るから、開発が進められているんですよね?部長。」

「勿論よ。だからその『メリット』は完成した HDG その物じゃなくて、そこで開発された技術の方、それが、本社も防衛軍も政府も、欲しいのだと思うの。」

 茜が、緒美に確認する。

「例えば、ディフェンス・フィールドとか、ビーム・エッジ・ソードとか、ですか?」

「そう言った、個別の技術は HDG とは関係無く、元から有ったものだから。価値が有るとすれば、そう言ったものが統合(インテグレート)されたシステムの方でしょうね、この場合。 この間の、AMF 搭載のレーザー砲みたいに、Ruby から火器管制を作動させる事で、命中精度が格段に向上してたでしょう? そう言う話よ。」

「そう言う事ですか。 そこで Ruby の話に繋(つな)がる訳(わけ)なんですか?」

「そう、単純な話ではないわね。HDG のシステムにしても、結局は襲撃して来るエイリアン・ドローンを撃退する為の仕様だから、それ自体を本社や政府が欲しがっているのではない筈(はず)なの。」

 今度は樹里が、緒美に尋(たず)ねる。

「結局、本社や政府は、何を計画しているんです?」

 その質問に、緒美は一息を吐(つ)いてから、答えたのである。

「多分、エイリアンのマザー・シップ、そこへの直接攻撃。」

 緒美の発言を聞いて、茜と樹里は顔を見合わせ、一瞬、息を呑んだ。
 そして最初に、樹里が声を上げたのである。

「直接って、月の裏側ですよ?」

「そうよ。」

 冷静に言葉を返す緒美に、何か気付いた様に茜が問い掛けるのだ。

「それで Ruby 搭載のミサイルって話、ですか?」

「流石、天野さんは見当が付いたみたいね。」

 緒美は一瞬、「ふっ」と笑ってみせる。だが、まだ納得のいかない樹里が、緒美に訊(き)くのだ。

「いや、待ってください。地球からミサイル打ち上げたって、月の裏側に到達する前に、撃墜されるんじゃないですか?」

「そうね。普通のミサイルなら、地球から月軌道に到達する迄(まで)に、エイリアン側に対処する時間は十分(じゅうぶん)有るわ。だから、誰もそんな事は考えなかったんだけど。」

「ですよね。ミサイルの軌道計算が出来たら、そこへ何か障害物を運んで来れば、飛んで来るミサイルの処分は出来ますよね。」

「別に態態(わざわざ)、障害物を運んで来なくたって、エイリアン・ドローンをミサイルの軌道上に配置しておけば、それで済むでしょう?」

「え? そうなるんですか?」

 意外そうに聞き返す樹里に、微笑んで緒美は言う。

「立花先生の分析に拠れば、エイリアン・ドローンは遠征用の使い捨て兵器だそうですから。マザー・シップを守る為なら、惜しくも何ともないでしょう?多分。」

「成る程。 それにしたって、そのお話だと、ミサイル攻撃では満足な効果は得られない、そう言う事では?」

 そこで樹里に、茜が助言するのだ。

「ですから、普通のミサイルでは、って事ですよ、樹里さん。」

 

- to be continued …-

 

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